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圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

5月の天候

気象予報士でヴィニュロンズクラブメンバーの保坂悟さんの協力で、先月の天候をまとめました(写真は6月14日)。

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数日の周期で低気圧が日本付近を通過し、天気は数日の周期で変わり、梅雨の走りのような天候となりました。月間の平均気温は平年並みでしたが、上旬末から中旬と下旬後半に強い寒気が南下するなど、気温の変動が大きかったのが特徴です。31日のうち半分以上の18日で雨が観測される(甲府)など降水量は平年よりかなり多く、日照時間はほとんどの地域で平年を下回りました。(以下はブドウ畑に近い甲府の観測データを基にまとめてあります)

平均気温
上旬は18.6度と平年を1.8度も上回る暖かさでしたが、中旬は季節外れの強い寒気が南下し、16.3度と平年を1.5度も下回り、上旬より冷え込みました。下旬は19.5度(平年比0.3度高)とほぼ平年並みでした。寒暖差が大きかったのですが、月平均では18.1度と平年比0.1度高とほぼ平年並みとなりました。日最高気温は23日に30.7度と今年初の真夏日を記録。夏日(最高気温25度以上30度未満)は14日を数えました。

降水量
期間を通じて平年を上回る降水量となり、月間では138.0ミリ、平年比177%とかなり多く雨が降りました。特に中旬は平年の2倍以上となる67ミリ(同233%)を観測。20日は41ミリのまとまった雨となりました。5回あった土曜日すべてに雨が観測されるなど、週末に天気が崩れる周期となりました。

日照時間
上旬は54.2時間(平年比82%)、中旬は50.3時間(同82%)、下旬は66.4時間(同90%)で、月間では170.9時間(同85%)と、曇りや雨の天気が多かったこともあり、期間を通じて日照時間は少なくなりました。日照時間が10時間を超えた「気持ちよく晴れた一日」は8日しかありませんでした。
(参考:甲府地方気象台、5月の山梨県の気象・地震概況)

2008年06月18日|個別ページ

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農繁期

開花が始まり、1年の中でも特に忙しい時期に入ってきました。農繁期というと農家やワイナリーのみなさんに怒られてしまうかもしれませんが、限られた時間で効率よく作業をするには密度が濃いという理解をしていただけると幸いです。14日に全体の作業がありました。

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ブドウにもいろいろな病気や害虫が発生します。この日は殺菌剤、殺虫剤を散布しました。

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防除の上で木の周りの環境をきれいにすることが大切という考えから、下草刈りもしました。この時期は草が伸びるのが早く、結構大変です。

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ブドウの木もどんどん生長します。伸びる新梢をワイヤに誘引して結びつけるのも、この日のメーンの作業です。誘引器も大活躍でした。

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中には170センチ近い木もありました。それにしても、木によって、結構成長が違うものですね。

2008年06月17日|個別ページ

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初夏の瓶詰め

山梨県と言えば、甲州種ワイン。貴重な日本のオリジナル品種で、ワイン用に適した「ヴィテス・ヴィニフェラ」種に属します。甲州種ワインのトピックスも折に触れて、取り上げていきたいと思います。

県内のワイナリーの多くがこの時期、シュルリー(※)製法で造った甲州種ワインの瓶詰め作業に追われます。初夏、シュルリーのワインが新たに店頭に並び始めます。そんな中、勝沼醸造(甲州市勝沼町)が地区別に仕込んだシュルリーの2007年産甲州種ワインをテイスティングする機会がありました。

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テイスティングしたのは、勝沼町の金山、勝沼、東雲、上岩崎、藤井と、同市大和町の横手の計6地区のワイン(いずれもシュルリー)。上岩崎は花や洋ナシの香り、藤井はグループフルーツや桃の香りなど、それぞれ微妙に異なる特徴がありますが、同社の中核銘柄「アルガブランカ クラレーザ」はそれらのワインをブレンドして造ります。

最後に、6地区のうちのいくつかを使った07年産のクラレーザ(10日発売)も試飲しましたが、ブレンドによってさらにワインが引き立ちます。聞けば、07年産はソムリエの田崎真也さんもブレンドにかかわったそうです。これまでの同社のワインのイメージとは違うと思う人も多いのではないでしょうか。


※シュルリー 発酵が終わってもオリ引きせず、ひと冬ワインとオリを接触させて瓶詰めする方法。白ワインのフレッシュさを保ち、うま味成分を添加する狙いがある。

2008年06月09日|個別ページ

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メルローの花

双葉農場に最も近いワイナリー、サントリー登美の丘ワイナリーでメルローの花が咲き始めていると聞き、梅雨の合間に晴れ渡った6日、ヴィンヤードをのぞいてみました。

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歩いてみると、つぼみをつけた木の中に小さな花を咲かせたものを見つけました。1年目ですから、つぼみをつけていない木もありますが、やはり白い花を見ることができたのはうれしいものです。夢中で写真を撮りました。

開花は「フロレゾン」。畑一面に花が咲き、6月の風に乗ってよい香りを放つ。そんな花見が楽しめるよう、さらに頑張っていきたいと思います。

2008年06月06日|個別ページ

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4月の天候

テロワール(土地固有の個性)を構成する重要な要素である気候。気象予報士でヴィニュロンズクラブメンバーの保坂悟さんの協力で、ヴィンヤードにかかわる情報を記録していきたいと思います(写真は5月24日)。

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【4月の天候】
低気圧や前線が日本の南海上を通過することが多く、県内も天気は周期的に変化した。月初めと下旬は青空が広がる日も多かったが、中旬は曇りや雨の日が目立った。全体的には、気温は高めで降水量も多かったのに加え、日照時間も平年並みにあった。

平均気温
ブドウ畑に最も近い甲府の観測データを項目別に旬ごとにみると、上旬こそ11.3度と平年を0.2度下回ったものの、中旬14.7度(1.2度高)、下旬16.6度(1.0度高)と、ともに平年を1度以上も上回る暖かさ。月平均では14.2度と平年より0.7度高かった。日最高気温は30日に28.8度を記録。夏日はこの日を含め4日を数えた。

降水量
上旬が79.5ミリで平年比239%とかなり多く、中旬も52.0ミリで平年比193%と多かった。しかし、下旬は7.0ミリ、31%と一転して少なくなった。月合計では138.5ミリ、同168%とかなり多かった。10ミリを超すまとまった雨となった日が7日、8日、10日、17日、18日と、5日あった。特に8日には24時間雨量で57.0ミリを記録。4月としては観測史上2番目に多い、まとまった雨となった。

日照時間
上旬73.4時間、平年比120%と多く、中旬44.5時間、同68%と減少。しかし下旬は85.1時間、同128%と持ち直した。月合計では203.0時間、同105%と平年並みだった。

2008年05月27日|個別ページ

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雨の降る前に

24日、久々の全体作業です。この日は午後から雨の予報。午前8時に集合し、作業は急ピッチで行われました。

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先日、マンズワインの中山さんから受けた指導を踏まえ、切り戻し、芽かき、誘引を行いました。

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トラクターやくわなどを使い、下草の刈り込みも行いました。
午前中は晴れ間も出て、順調に作業が進みました。

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途中、マンズの武井さんから直接、指導をいただきました。芽かきで取り残した芽の除去など、細かいチェックが入りました。

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少し見ないうちに、花穂もこんなに大きくなっている木がありました。

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植樹間もなくは「おませさん」と言われ、畑の中でも際立った存在の基準木でしたが、最近は周りの木が追いついてきて「目立たなくなってきた」との声がありました。

2008年05月26日|個別ページ

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桔梗ケ原のメルロー(3)

最後はテイスティングセミナーの報告です。

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まず8種類の赤ワインをブラインドテイスティングしました。与えられた情報はヴィンテージ(年代)のみ。1985年、90年、98年、2002年を各2種類ずつ試飲しました。85年、90年はワインの色合いにオレンジエッジがあり、外観からも熟成したワインと分かります。いずれも味わいは複雑で、コメントを求められた著名なソムリエの方々も多様な言葉でワインを表現していました。時間の変化とともに、ワインも著しく変わっていきます。

先入観を持たないという狙いで銘柄は隠されていましたが、一通りのテイスティングが終わってワインが発表されると会場がどよめきました。いずれも年代違いの同じワインで、一つはメルシャンの「桔梗ケ原メルロー」。こちらはうすうす見当がつきますが、もう一つがなんと、「ヴュー・シャトー・セルタン」だったのです。公的な格付けのないポムロール(ボルドー)のワインですが、慣習上の特級「ペトリュス」に次ぐクラスの高級ワイン。同じテーブルに並んでも遜色(そんしょく)なく、桔梗ケ原メルローの品質の高さを見せつけられました。中でも90年の桔梗ケ原メルローは、ブラインド段階のテイスティングでも高い評価を得ていました。

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メルシャン勝沼ワイナリーの次長、味村興成さんから桔梗ケ原メルローの変遷について説明がありました。中でも98年はシャトー・マルゴー(※)の最高醸造責任者ポール・ポンタリエさんをコンサルタントとして招へいしたり、ブドウ収穫時に「適熟」の概念を取り入れるなど、思い入れの強い年だったそうです。

その後、4種類のワインをテイスティング。同じく最初はブラインドでしたが、すべて2004年。結局、こちらはすべて桔梗ケ原メルローでしたが、棚栽培、棚栽培の粒選り、垣根栽培、棚と垣根のブレンドのワインと、同じ年でも原料によるワインの違いを勉強でき、興味深いセミナーでした。

セミナーでのこぼれ話を2点。

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珍しいブドウの芽の天ぷらをいただきました。メルロー、シャルドネと赤、白そろえてありました(笑)。

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醸造免許を持っている長野・塩尻志学館高校でつくったワインをテイスティングする機会がありました。メルロー、マスカット・ベリーA、ナイアガラの3種類すべて試しましたが、なかなかのワインです。ここの生徒さんはフランス・ボルドーなどにも研修に行っているそうです。


※シャトー・マルゴー ボルドーのメドック格付け第1級。

2008年05月20日|個別ページ

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桔梗ケ原のメルロー(2)

次に、メルシャンが自社栽培している垣根式によるメルローの畑を見学しました。

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写真左は、1999年に塩尻分場の一角で最初に始めた自社畑です。2000年から自社畑での本格的な垣根栽培を始め、現在は3カ所で合わせて約0.8ヘクタール。垣根栽培の中でもギュヨー式のシングル(※)を主に採用しているとの説明でした。

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この日のメーンイベントの一つは、芽かき体験。ブドウの木の樹齢が8年目になる畑に入って、不要な芽を取り除きました。今年は、例年よりも芽の伸びが遅いそうです。確かに小さな新芽も目立ちました。

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垣根の一番下のワイヤに近い新梢は来年の結果母枝になります。この芽はとても大事です。とらずに、きちんと残しておきます。それにしても、木の周りのいろんなところから芽が出ていて、面白いです。

現在、桔梗ケ原地区内に点在する同社の契約栽培畑は約9ヘクタールとのことですが、これらのほとんどが棚栽培。その一方、棚式とは異なる個性を持ったブドウを求めて、自社畑で垣根栽培への挑戦を続けてきたそうです。その試みが実を結び、今年6月、垣根栽培のメルローを発売以来初めてブレンドした「シャトー・メルシャン 桔梗ケ原メルロー2004 シグナチャー」が発売されるとのことです。

1999年に垣根栽培を始めて、2004年に仕込み、その後樽で寝かして2008年に発売ですから、分かってはいるつもりですが、ワインづくりは時間がかかりますね。


※ギュヨー式 垣根仕立ての一つで、ボルドーやブルゴーニュで見られる方式。長梢1本と短梢1本を残すのがシングル。それぞれ2本ずつ残すのがダブル。

2008年05月18日|個別ページ

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桔梗ケ原のメルロー(1)

 メルシャンがこのほど、長野県塩尻市桔梗ケ原地区で開いたセミナーに参加してきました。長野は日本のメルローの注目産地です。3回にわたって内容をレポートします。

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写真は、メルシャン勝沼ワイナリー塩尻分場です。メルシャンは、桔梗ケ原地区の林農園(五一ワイン)が栽培を始めたメルローを1976年から地元農家に広めました。89年の国際ワインコンクールで同社の「桔梗ケ原メルロー」(85年産)が大金賞を受賞、この地のワインを世界に知らせました。

桔梗ケ原のブドウ栽培は1890(明治23)年からの長い歴史があります。現在の塩尻市内の品種別仕込み量をみると、コンコードが全体の約半分、メルローは8分の1程度です。

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写真は、メルシャンの契約栽培畑です。いずれもメルローの棚栽培ですが、左は長梢仕立て(※1)、右が短梢仕立て(※2)となっています。メルシャンは棚栽培の場合は、短梢仕立てを推奨しているとのことです。

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勝沼ワイナリー・ヴィンヤードマネージャーの弦間浩一さんによると、短梢も長梢も品質に変わりはないとの説明。ただし、「短梢はフルーツゾーンがベルト状に並ぶので、収穫やせん定などが楽。作業の省力化を図ることができます」と話しています。

棚栽培では、冬季せん定、芽かき、摘房と、3回のポイントでの収量制限によって10アール当たりの収量1.7トンを目標にしているそうです。

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写真は、一般農家が始めた垣根栽培のメルローの畑。メルシャンの契約農家は現在、2軒が垣根栽培に取り組んでいるそうです。この畑はそのうちの1軒(栽培面積78アール)で、3年前から始めたとのことです。

垣根栽培の場合は収量目標が10アール当たり0.8トンと、棚栽培に比べて半減します。同社は、ブドウの取引価格を糖度でランク付けしていて、一番高いクラスでは1キロ300円以上にもなるそうです。醸造用ブドウとしては思い切った高さです。


※1)長梢仕立て 木1本当たり4本の主枝を「X字」型になるように配置する整枝で知られ、ブドウ農家に広く普及。せん定の時に結果母枝を長く残す。
※2)短梢仕立て 主枝を左右に一本に伸ばしたり、「H字」型になるように配置する整枝方法。結果母枝は枝元の芽を残すだけで切り落とす。

2008年05月16日|個別ページ

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栽培指導

13日朝、マンズワイン小諸ワイナリーの中山正男さんから栽培指導を受けました。

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中山さんは1947年大月市生まれ。
千葉大大学院修了。73年にマンズワイン入社。
同社で30年以上にわたり、ブドウの栽培に携わってきました。
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。

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まずは「切り戻し」。写真は、中山さんによる実例です。勢いの強い新梢(しんしょう)が頂芽(茎の頂端にある芽)ではなく、その下部に位置する場合はその節まで切り戻します。

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そして不要な芽をかきとる「芽かき」。木1本当たり、2芽から3芽に整えます。基準木は、中山さんの手が入り、さっぱりとしました。写真の指で示した副梢については、1年目はそのまま伸長させるとのこと。2年目以降、処理が必要になるそうです。

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写真は、ウスミドリメクラガメの被害を受けたと見られる若葉。中山さんによると、消毒のタイミングがよく、広がりは見られないようです。

コウモリガも要注意だそうです。根をやられてしまうので、こわい害虫。こまめに除草して、根の周りを清潔に保つことが大切とアドバイスを受けました。

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ヴィンヤードを歩いた中山さんは「調子がいいですね。全体によく芽が出ています。作業も完璧です」と感想。
ただ、「山林が近く、雑木も多いので、害虫への注意が必要。プロは病気に悩まされるが、素人は得てして害虫に悩まされると言います。とにかく、足繁く畑にきて様子を見ることが大事です」との指摘がありました。

最後に「今年のつぼみは落とさなければなりませんか」と聞いてみました。
「開花しても、今年は実まではつけないでしょう。花を咲かせて、そのままにしておけばいいでしょう」と中山さん。順調にいけば、開花までの生育ステージはブログでお伝えできそうです。

2008年05月15日|個別ページ

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