トップページへ

圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

つぼみ

つぼみ(フランス語・モーントル)。ヴィンヤードの幼木にも、つぼみが確認できるようになりました。

1_32_3
写真は、開花前の花穂(かすい)。ブドウは、その年に出た枝に果実がなります。葉は枝の両側に互い違いに出て、第3節、第4節に花穂がつきます。ただ、1年目の木にとって実をつけるのは大きなエネルギーを必要とするため、今後の成長を考えて落としてしまうのが一般的のようです。今後、どのような運命をたどるのでしょうか…

34
11日、雨上がりのヴィンヤードで草刈りをしました。この日はかまを使って畑の周囲を念入りに行い、畝(うね)間にはトラクターが入りました。2時間半ほどの作業でしたが、結構な重労働。肌寒さを感じる1日でしたが、汗でびっしょりになりました。

5
畑でテントウムシを見つけました。作業をしていると、結構いろいろな生物を目にします。ブドウの害虫アブラムシをえさにするテントウムシ。思わず、しばらく観察してしまいました。

2008年05月12日|個別ページ

ページのトップへ

祝杯会

過日、昭和町のイタリア料理店で「祝杯会」が開かれました。

1
作業が順調に進んでいるのを受けて、「お疲れ様&今後も頑張りましょう!」との思いを込めて企画されました。
クラブとしては1月のキックオフ会以来の会食です。日ごろ作業に汗を流しているメンバーが、おいしい料理とワインを楽しみ、決意を新たにしました。

2
席上、メンバー限定の名刺用シールが披露、配布されました。大きさは縦7ミリ、横4.5センチ。「ワイン作りに挑戦中 ヴィンヤード便り」とプリントされ、このブログのアドレスが入っています。山日YBSグループの名刺にこのシールがあれば、メンバーである証しになるそうです。
山梨の文化であるワインをより深く知るためにも、さらに頑張って情報発信していきたいと思います。

当日はテイスティングの勉強会も兼ねました。メーンのワインはもちろんメルロー、それもボルドー産です。

345
メルロー主体のワインは5本が卓上に並びました。サンテミリオン、ポムロール、ラランド・ド・ポムロール、コート・ド・カスティヨン(※)のワインで、写真はその一部です。サンテミリオンは、もっともいいAOC(原産地統制呼称ワイン)の「サンテミリオン・グランクリュ」でした。ブレンドされる銘柄が一般的ですが、メルロー100%や、メルロー100%で平均樹齢40年のものもありました。

いずれも複雑な味わいですが、メルローの品種の特徴を覚えるため、中心となる香りを整理してみました。一般的に「キノコ」「プラム」「ミント」「土っぽい香り」などと表現されています。

▽この日のワインリスト(メルロー関係)
「シャトー・ショーヴァン」(サンテミリオン、1999年)
「シャトー・マゼール」(ポムロール、2000年)
「シャトー・ランクロ」(ポムロール、1998年)
「シャトー・フルール・ド・ジャンケイ・リザーブ」(ラランド・ド・ポムロール、2002年)
「プピーユ」(コート・ド・カスティヨン、2004年)


※サンテミリオン、ポムロール、ラランド・ド・ポムロール、コート・ド・カスティヨン ボルドーの生産地区。いずれもジロンド川・ドルドーニュ川の「右岸エリア」に位置する。サンテミリオンの代表格に「オーゾンヌ」「シュヴァル・ブラン」、ポムロールに「ペトリュス」がある。

2008年05月09日|個別ページ

ページのトップへ

プロの目から見た現状

2日、マンズワインの武井千周さんが双葉農場を訪れました。武井さんは南米に1ヵ月半出張していて、植樹後の畑を見るのはこれが初めてです。

1
武井さんは塩山市(現甲州市)生まれ。
1993年にマンズワイン入社。
99年に渡仏し、ボルドー大学ワイン醸造学部で学びました。
その間、シャトー・コス・デストゥルネル(※1)ジャン・ピエール・ムエックス社(※2)などで実習を受けました。
2002年、日本国内では数少ないフランス国家資格のワイン醸造士資格を取得。
現在はマンズワイン研究開発部に所属しています。

2_23_3
現在のヴィンヤードと、基準木の様子です。基準木は畑の中でも比較的成長が早く、着実に葉を広げているように見えます。

45
まずは畑を一周して、この時期萌芽していない苗木をチェック。畑の中でもよくみると、生育にばらつきがあります。芽が膨らんでいない木は植え替え候補として目印をつけました。

視察後、武井さんは「きわめて順調に育っています」と感想を述べました。
しかし、油断は禁物。「むしろ、これからが大変です。苗木は病気にかかりやすいので、早い段階での徹底した防除が求められます」とのアドバイスを受けました。


※1)シャトー・コス・デストゥルネル ボルドー・メドック地区サン・テステフ村。メドック格付け第2級
※2)ジャン・ピエール・ムエックス社 シャトー・ペトリュスで有名。ボルドー右岸の赤ワインだけを専門に取り扱うシャトー・オーナー兼ネゴシアン(ワイン商)。

2008年05月07日|個別ページ

ページのトップへ

展葉

甲府盆地にいると、至る所でブドウ畑が目に入ってきます。見慣れた棚仕立て(※)の木々の枝から緑色の葉が確認できる季節になりました。

双葉農場のヴィンヤードでもいくつかの幼木が葉を広げ始めていました。

2_21_4
写真は4月28日の畑の様子です。生育ステージの「展葉」に入っています。フランス語で「フイエゾン」というと、かっこよく聞こえます。ブドウ栽培を始めたばかりの今年は、畑に入ると毎回何か新たな発見があります。小さな若葉が風になびいている姿もとても新鮮です。そして生育の早さに驚かされます。


※棚仕立て 高い支柱を立てて棚をつくり、ブドウの枝をはわせる栽培法。多湿な地域での採用が多く、日本で最も見かける方式。イタリアやスペインなどの一部地域でも行われている。

2008年05月01日|個別ページ

ページのトップへ

発芽

 4月20日、全体が集合しての3回目の作業日です。

1
ブドウ畑の周りも緑が目立つようになってきました。

234
この日の作業の流れです。まず苗木のわきに支柱をたて、バインド線でとめます。そして1本1本、誘引テープで固定しました。その後、全体の草取りをしました。

5
ジャジャーン! なんと言っても、この日の感動は木々が芽吹き、順調に成長していることを確認できたことです。やや赤みを帯びていて、かわいらしいです。ブドウは蔓性の多年性植物であり、気候に合わせた生育サイクル(※)を持っています。

6_37_3
この日は、定点観測する基準木を決めました。現在のブドウの木の様子です。今後、どのように変わっていくのか楽しみです。


※ブドウの生育サイクル 冬季は休眠し、土中温度の上昇とともに根が活動を始め、一般的に気温が10度程度になると地上部の活動が始まる。休眠―萌芽―展葉―花穂―開花―結実―果実肥大―着色―成熟―収穫というサイクルを形成する。

2008年04月22日|個別ページ

ページのトップへ

ブドウ畑ができるまで(2)

080416_7
植え付け直前、段ボール箱に入ったブドウの苗木。根っこの部分は台木(※)です。フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)の被害を回避するための台木は何十種類とありますが、ここでは「5BB」(約500本)と、「3309」(約400本)の2種類を使っています。いずれもワイン産地の県内で広く利用されています。

080416_8080416_9080416_10
3月22日、待ちに待った植樹です。畑にメンバーが初めて勢ぞろいしました。まずは、たい肥まき。1本1本丁寧にメルローを植え付けていきます。植樹密度はワインの品質にも影響しますが、木と木の間の距離は1メートルとりました。縦のラインが曲がらないように注意しながらの作業。苗木には、健やかに育つようにとの思いを込め、たっぷりと水もあげました。

080416_11
植樹は一日がかりの作業。農場で弁当を広げました。好天にも恵まれ、体を動かした後の昼食は格別の味がしました。

080416_12080416_13
植え付けたばかりのメルローの苗木。この日は一日中、富士山が作業を見守ってくれました。

080416_14080416_15
3月29日、全体が集合して2回目の作業日。土寄せ、マルチかけ、消毒を行いました。晴れてブドウ畑の完成です!


※台木 19世紀半ばにヨーロッパのワイン産業を襲ったフィロキセラ禍から救ったのが台木の使用。アメリカ系の木を台木として接ぎ木する方法で、現在最も有効な対策とされている。病害虫予防にとどまらず、土壌へのブドウ樹の適性や樹勢コントロールにも有効と言われるが、国内では台木試験の実例がまだ少ない。

2008年04月17日|個別ページ

ページのトップへ

ブドウ畑ができるまで(1)

 「最良のワインは畑で造られる」と言われますが、今回はその畑ができるまでを2回に分けて紹介します。

080416_1_3
2008年1月中旬の山日YBS双葉農場の一角です。冬枯れの景色の中、更地が広がっています。

080416_2_3
2月15日、ブドウ栽培用の資材設置工事が始まりました。ここでは本格的なワイン造りを目指し、欧州の産地では主流の垣根造りを試み、雨の多い日本の風土にも配慮して木の上に雨よけをつけたマンズ・レインカット方式(※)を採用しています。

080416_3080416_4
2月下旬には耕うんなど土づくりを行いました。土壌はテロワール(土地固有の個性)を構成する重要な要素です。メルローを主要品種とするフランス・ボルドーのポムロール地区の土質は粘土質で知られています。双葉農場の土も水分を含むと、靴の裏にべったりと張り付き、かなりの粘土質のように感じます。期待度が高まります。

080416_5080416_6
3月18日、ブドウ苗木を植えるための900個の穴あけ作業です。マンズワインの中山さんから植え付けの指導がありました。苗木の根を四方に伸ばすのはポイントの一つとのことです。さて、いよいよ植樹を待つばかりとなりました。


※マンズ・レインカット方式 マンズワインが考案した垣根栽培の方式。専用の支柱を使い、傘のように全体にビニールの覆いをかける。ブドウが雨に濡れて病気を発生するのを防ぐなどの利点がある。

2008年04月16日|個別ページ

ページのトップへ

一滴(ひとしずく)への夢

080409_4 「山日YBS双葉農場ヴィンヤード便り」の記念すべき1回目の配信。取材を通してワイン業界に接してはいたが、まさか自分が生産者側の立場になるとは! 既に3月22日の植樹、29日の畝(うね)づくりとマルチ敷きの2回の作業を終え、筋肉痛の余韻さめやらぬ中、ブログを担当することになった。重労働にもかかわらず、ブドウの木の生育が待ち遠しく感じる不思議さ。これもワインの魅力なのか。まずは計画概要を紹介しよう。

 標高350メートルの小高い丘にあるヴィンヤードは、日当たりのいい南向き斜面。見晴らしも良く、眼下に甲府盆地が広がり、富士山や南アルプスを眺望できる。ブドウの栽培面積は17アール。欧州系の赤ワイン用高級品種メルロー(※)を約900本植え付け、2011年秋に初収穫、13年に1000本のワインを造る計画。栽培にあたっては、日本のワイン業界をリードするマンズワイン株式会社勝沼ワイナリーの武井千周さんと、同小諸ワイナリーの中山正男さんから指導を仰ぎ、醸造も同社に委託する。万全のバックアップ態勢に期待が膨らむが、ワインはブドウがすべて。まずはわれわれが、いいブドウを育てなければいけない。

 栽培スタッフは、野口英一グループ代表をはじめ、ブドウを育てるために新たに立ち上げた同好会のメンバー総勢24人。フランス語でブドウを育てワインを造る人を意味する「ヴィニュロン」にあやかって、同好会はヴィニュロンズクラブと名付けた。素人集団ではあるが、公務同様(またはそれ以上?)に身を砕き、丹誠込めてブドウを育てていきたいと思っている。一滴(ひとしずく)への夢を求めて。

080409_1_3080409_2_4080409_3_3


※メルロー フランス原産の品種。同じくフランス原産のカベルネ・ソーヴィニヨン同様、世界中で広く栽培されている。ボルドーでは、サンテミリオンやポムロールでの主要品種として知られる。収穫期はカベルネよりも早い。

2008年04月09日|個別ページ

ページのトップへ

記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。Copyright 山梨日日新聞社 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.