鳥居平と菱山
甲州市勝沼町のワイナリー、中央葡萄酒(三沢茂計社長)が甲州種ブドウをテーマに開いたセミナーに参加しました。甲州種ブドウの名産地として知られる同町の鳥居平地区と菱山地区で、同社の契約栽培畑を見学しました。いずれの地区も日照量や昼夜の寒暖差、水はけの良さなどに恵まれています。
まずは菱山地区です。勝沼町を見下ろす高台にあり、斜面は北東向き。三沢社長によると、同地区全体のブドウの栽培面積は約150ヘクタールで、このうち甲州種は約3ヘクタールということです。
写真は菱山地区での甲州種の契約栽培畑で、標高は約500メートル。同社は2004年、フランス・ボルドー大のデュブルデュー教授の指導による甲州種ワインの醸造を始めましたが、「ここから採れたブドウを使おう」と教授の目に止まった畑です。このワインは世界的ワイン評論家、ロバート・パーカーJr.氏のポイント(パーカーポイント)を取得することになりました。
そして、古くから名産地として評価の高い鳥居平地区。標高の高い山路地帯にあり、斜面は西南西向き。
おなじみの「鳥居焼」と甲州種ブドウの畑(契約栽培畑)です。標高は約440メートル。フルーツラインから見下ろすと、ブドウ畑の広がりがよく分かります。鳥居平地区での甲州種ブドウの栽培面積は1.7ヘクタール。中央葡萄酒の試算では、この地のブドウの収穫高のうち昨年は約7割を同社が買い入れたとのことです。
同社は02年から畑の地区ごとの仕込みを始めました。ヨーロッパの銘醸地がそうであるように、ワインの醍醐味は「産地の表現」にありますが、三沢社長は「菱山、鳥居平の景色をワインに反映させていかなければいけない。産地の特徴をもっと明確に出していきたい」と強調していました。
せっかくですので、メルローの話も記録しておきます。セミナーでは、自社管理農園のメルローを使った「グレイス メルロ2006」(限定生産)をテイスティングする機会を得ました。
カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドで、ブドウは北杜市明野町産と勝沼町産を使っています。最初はインク(カベルネの中心的な香り)のような印象もありましたが、やがて黒系の果実や土っぽい香りなどに変わっていき、口中ではほどよいタンニンを感じました。
(2008年07月14日更新)