国産ワインの課題
甲府市内のホテルで行われていた今年の国産ワインコンクールの審査(7月23-25日)が終わり、審査員による記者会見が行われました。このうち国産ワインの課題について、フランス・ボルドー大醸造学部のジル・ド・ルベル教授と、ワインジャーナリストのデニス・ガスティンさんのコメントの一部を紹介します。
- 日本は品種の選択をする時期に入っている。いいワインを造るための実験期間が長すぎるように思う。どの品種が日本の風土に合うかを見極めて、栽培をしていくべきだ。もちろん風土に合わないために、あきらめざるを得ない品種も出てくるだろう。
- 単一品種にこだわるのではなく、ブレンドを考えるのも成功への近道。それは品種の特性ではなく、風土の特性の表現につながっていく。テロワール(土地固有の個性)に着目し、いい土地を見極めて選択していくことも大事。
- 私の住むシドニーには300のすしバー、600の日本食レストランがある。あるレストランには3種類の日本のビール、6種類の日本酒、3種類の焼酎が置いてあるが、日本のワインは1本もない。そこには大きな市場性があると思う。日本のワインをレストランで知人に紹介すると、反応がいい。「なぜレストランに置いていないのか」と。
- インドやタイでもワインが造られているが、あるタイのワイナリーのワインは、ロンドンの600のレストランに入っている。それもすぐに受け入れられたのでなく、価格の競争力、品質、ワインのスタイルの提案があってこそ。海外での販売を実現するには、プロモーションの努力をしていかなければいけない。
(2008年07月29日更新)