トップページへ

圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

キャノピー・マネージメント

17日に全体作業がありました。

20080822_1
新梢の表皮が褐色に変化して木質化、いわゆる「登熟」が進んでいます。

20080822_2
この日は、ブドウの房周りの葉を取り除く「除葉」を集中的に行いました。キャノピー(ブドウ樹の地上部)の枝葉を操作して、日照量の調整や風通し、病気の危険性などをコントロールします。キャノピー・マネージメントはブドウの品質などに大きく影響します。

20080822_3
そして、毎度毎度の草刈り。

20080822_4
結構、手入れが行き届いたブドウ畑に見えませんか。農作業の充実感を感じるひとときです。

この日は“事件”もありました。それはまたあらためて報告したいと思います。

2008年08月22日|個別ページ

ページのトップへ

7月の天候

気象予報士でヴィニュロンズクラブメンバーの保坂悟さんの協力で、先月の天候をまとめました(写真は8月3日)。

20080821_1_2

7月は上空の寒気の影響で局地的な雷雨がありましたが、まとまった雨が降る日は少なく、晴れや薄曇りの日が多くなりました。6月2日に梅雨入りした県内は7月19日に平年より1日早く梅雨明けしました。期間中の降水量は甲府で249.0ミリと平年の214.4ミリより多かったのですが、梅雨前線の活動が後半は弱かったため、7月の降水量は各地で平年を下回り、甲府も平年の約半分程度でした。気温は中下旬にかけてかなり高くなり、7月は総じて高温、少雨の1カ月となりました。(以下はブドウ畑に近い甲府の観測データを基にまとめてあります)

気 温
平均気温は上旬で24.1度と平年並みでしたが、中旬になると27.2度と平年を2.2度も上回る高さとなり、下旬も27.8度と平年を1.6度上回りました。その結果、月平均でも平年を1.3度上回る26.4度となり、通常の7月よりかなり気温が高い1カ月となりました。日最高気温は月平均で32.5度と平年より2.1度とかなり高く、日最低気温の月平均も22.6度と平年に比べて1.2度高く、日中も、夜間も気温は高かったと言えます。26日には37.8度まで上がり、猛暑日は24日から27日の4日連続を含め6日を数えました。夜間の気温が25度を下回らない熱帯夜も6日と例年になく多くなりました。

降水量
雨となった日は18日と比較的多かったのですが、まとまった雨とはならず、5月、6月とは一転して降水量は少なくなりました。期間を通じての降水量は平年の55%の73.0ミリにとどまりました。上旬は44.0ミリと平年の83%はあったのですが、中旬は平年の33%の13.5ミリ、下旬は39%の15.5ミリと極端に少雨となりました。雷雨は3日ありました。

日照時間
月合計は172.4時間で平年比120%と、日照にはかなり恵まれました。特に中旬は69.8時間(平年比158%)、下旬も89.6時間(平年比130%)という長さで、6月とは一転してのたっぷりとした日照時間となりました。その分、日中の気温が平年より高くなりました。上旬は47.7時間で平年並みでした。
(参考:甲府地方気象台、7月の山梨県の気象・地震概況)

2008年08月21日|個別ページ

ページのトップへ

納涼会

15日、甲府市下石田のカフェ・ラ・トゥーシェで、ヴィニュロンズクラブの納涼会が開かれました。

20080820_1

栽培している品種がメルローですから、当然、ワインもメルローです。真夏日だろうがお構いなく、ひたすら赤ワイン、メルローを味わいます。

ワイン愛好家で弁護士の山本博さんも近著で「山梨県の人がワインを知らなすぎる」と指摘していましたが、ブドウ栽培者が造りたいワインをイメージすることは大切なことだと思います。

20080820_2

フランスワイン中心の前回と異なり、今回は結果的に国産、新世界(ニューワールド)のワインがそろいました。10人足らずの参加者で、計4本を楽しみました。

以下、参加者の感想を踏まえコメントをまとめました。

▽キャネー万力メルロ2007(金井醸造場)=山梨
メルローというよりも赤い果実のニュアンスを強く感じました。デキャンタをしていただきましたが、時間の経過とともに印象が変わります。

▽NACメルロー樽熟2006(井筒ワイン)=長野
今年の国産ワインコンクール金賞ワイン。バランスがとれ、エレガントな味わい。塩尻産メルローの品質の高さを見せつけられました。

▽グレイスメルロ2006(中央葡萄酒)=山梨
今年のジャパンワインチャレンジ銀賞・最優秀日本ワイン賞。以前も書きましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンのニュアンスも感じます。果実味やミネラルなど複雑な味わいが印象的でした。

▽サンダルフォード・メルロー2002(オーストラリア)
西オーストラリア州。パワフルでありながら、繊細さを兼ね備えているように感じました。フルーツ感たっぷりの味わいは女性に人気。アルコール分は14%と高め。牛フィレの肉料理とよく合いました。

2008年08月20日|個別ページ

ページのトップへ

ボルドー散布

樹勢が強いのか、新梢がぐんぐん伸びます。もちろん、この後、摘心しました。

20080812_1

さて、9日にボルドー液を散布しました。

20080812_2

ボルドー液は硫酸銅と石灰の溶液で、べと病などの対策として知られています。有機栽培農法などでも使用が認められています。当初の防除計画を2週間ほど前倒ししているため、この時期の散布となりました。

20080812_3

葉には白っぽい散布した跡が残ります。県内のブドウ畑では、よく見かける光景です。

2008年08月12日|個別ページ

ページのトップへ

ベレーゾン突入

小諸視察から一夜明けた3日早朝、双葉で作業がありました。

20080808_120080808_2
草刈り機で下草を刈り込み、葉焼けなどが起こった根元の葉を取り除きました。
また、伸びすぎた新梢の先端を切りました。いわゆる摘心です。枝の充実を図るため、伸びを一時的に抑えます。これをしないと、翌年の収穫に影響するそうです。

畑のブドウも本格的にベレーゾン(成熟期)に入ったようです。

20080808_320080808_4_320080808_5
3日時点のブドウの表情です。果皮がどんどん色づいてきました。

2008年08月08日|個別ページ

ページのトップへ

小諸視察その2

東山にあるカベルネの畑の次に、近くにあるメルローの畑を視察しました。

20080807_120080807_2
栽培面積は約75アール。今年植えたばかりというので、双葉の畑とはいわば〝同級生〟。双葉には2メートルを超える木も育っているのと比べると、ずいぶんと小ぶりで、畑の印象が違うのが分かります。メンバーからは「本来はこれが普通なのかね」との声も漏れました。

20080807_3
気になったのは、畑の石が小さく、河原で見かけるようなものだったことです。近くに川などはありません。中山さんは「フランスのボルドーのような土壌でしょ」とニッコリ。

その後、小諸ワイナリーに移り、武井さんの案内で醸造工程を見学しました。

トピックスとして、ワイナリー内の日本庭園「万酔園(ばんすいえん)」を紹介します。

20080807_4
広さは約3000坪。信州をイメージした日本庭園だそうです。

20080807_5
園内にあるワイン道祖神。「夫婦でワインを」という思いが込められているようです。

20080807_6
地下セラーも特別に見学させていただきました。趣のあるセラー入り口です。

20080807_7
年代物のワインが静かに眠っています。

20080807_8
ブドウのシャンデリアが輝く、VIPルームも備えています。

2008年08月07日|個別ページ

ページのトップへ

小諸視察その1

8月2日、ヴィニュロンズクラブのメンバーが長野・マンズワイン小諸ワイナリーを視察しました。メーンは、同社の最高峰ワイン「ソラリス 信州東山カベルネ・ソーヴィニヨン」を産する「東山畑」(長野県上田市塩田平)を訪れ、現場で栽培情報を吸収することでした。

20080806_120080806_2
マンズワインの中山正男さん、武井千周さんに案内していただきました。東山地区には7カ所(約4ヘクタール)の畑があるそうです。中山さんは「東山は雨が少なく乾燥していて、カベルネの栽培に向いている」と強調していました。

20080806_320080806_4
訪れたカベルネの畑は標高約550メートル。南向き斜面。約50アールの栽培面積で、短梢せん定の「ダブル・コルドン式」(写真左)と「コルドン式」(同右)でブドウを育てていました。下草を生やしたままの草生栽培です。

20080806_5_220080806_6_2
双葉のメルロー畑の将来的なイメージは、ダブルではない「コルドン式」とのことです。幹からアーム(コルドン)を左右に伸ばし、写真右のようにコルドンから芽を2個ずつ持つ短梢を残す方式です。ちなみに同じ垣根栽培には、長梢せん定の「ギュヨー式」というバリエーションもあります。

武井さんから「樹勢を抑えるには短梢せん定がいい。特にメルローは短梢が向いている」とアドバイスがありました。

20080806_7
余談ですが、「新梢の先端がメルローに比べて赤くなるのがカベルネの特徴」(中山さん)だそうです。

2008年08月06日|個別ページ

ページのトップへ

ほんのりと

7月31日、駆け足で畑をのぞいてみました。

20080801_1_2まだまだ全体的に青い果粒が多いのですが、ほんのりと色づき始めた房を見つけました。
ブドウの一大転換期である「ベレーゾン」という生育ステージに入ると、果粒が徐々にやわらかくなり、赤品種は果皮が色づき始めて、ブドウは成熟へと向かいます。

これまでブドウの品質に大きな影響を与えるのはベレーゾン以降とされてきましたが、最近の研究では、水分ストレス(水不足の状態)はベレーゾン以前が有効で、特に着色状況に影響を与えるという考え方が出てきています。酒類総合研究所(広島)の後藤奈美さんが、この研究を進めています。

今年はこの2週間ほど、体感的には降雨量が少なかったように思います。ここの畑はまだ仕込みができませんが、天候的には、山梨のワイン用ブドウはここまで比較的いい方向で来ているのではないでしょうか。

2008年08月01日|個別ページ

ページのトップへ

国産ワインの課題

甲府市内のホテルで行われていた今年の国産ワインコンクールの審査(7月23-25日)が終わり、審査員による記者会見が行われました。このうち国産ワインの課題について、フランス・ボルドー大醸造学部のジル・ド・ルベル教授と、ワインジャーナリストのデニス・ガスティンさんのコメントの一部を紹介します。

20080729_1
ルベル教授

  • 日本は品種の選択をする時期に入っている。いいワインを造るための実験期間が長すぎるように思う。どの品種が日本の風土に合うかを見極めて、栽培をしていくべきだ。もちろん風土に合わないために、あきらめざるを得ない品種も出てくるだろう。
  • 単一品種にこだわるのではなく、ブレンドを考えるのも成功への近道。それは品種の特性ではなく、風土の特性の表現につながっていく。テロワール(土地固有の個性)に着目し、いい土地を見極めて選択していくことも大事。

20080729_2
ガスティンさん

  • 私の住むシドニーには300のすしバー、600の日本食レストランがある。あるレストランには3種類の日本のビール、6種類の日本酒、3種類の焼酎が置いてあるが、日本のワインは1本もない。そこには大きな市場性があると思う。日本のワインをレストランで知人に紹介すると、反応がいい。「なぜレストランに置いていないのか」と。
  • インドやタイでもワインが造られているが、あるタイのワイナリーのワインは、ロンドンの600のレストランに入っている。それもすぐに受け入れられたのでなく、価格の競争力、品質、ワインのスタイルの提案があってこそ。海外での販売を実現するには、プロモーションの努力をしていかなければいけない。

2008年07月29日|個別ページ

ページのトップへ

カーボン・マイレージ

米国ワインエデュケーター協会(SWE)日本支部長の児島速人さんによる「地球温暖化とワイン」をテーマにしたセミナーがこのほど、都内で開かれました。

20080724_1
今年2月にスペイン・バルセロナで開かれた第2回「地球温暖化とワイン」カンファレンスの内容紹介がメーン。セミナーの中で提唱していました「カーボン・マイレージ」という考え方に興味を持ちました。

ワインはその醸造メカニズムを見ても明らかなように、アルコール発酵は、糖分が酵母の働きでエチルアルコールと炭酸ガス(CO2)に変化する仕組みです。1%のアルコールを醸造するには約1.8%の糖分が必要。ブリックス(糖度)22度(潜在アルコール度数12.2%)の果汁1リットルを発酵させると、107グラムのCO2が発生する計算になるそうです。

さらにワイン輸送時におけるCO2の排出量をみると、船便、船便リーファー(保冷)使用、鉄道輸送(ディーゼル)、トラック輸送、航空便輸送の順に大きくなっていきます。そのほか、樽(たる)製造時のCO2排出を考えると樽不使用、高アルコールよりも低アルコール、コルクも石油化学製品を使わない天然素材など、CO2を中心に考えると飲むべきワインが限られていきます。

面白いのは、これらを踏まえた児島さんによるワイン消費者(東京在住者)への提言。

  • フランスのヌーボー(新酒)=特に空輸もの=ではなく、国産品を飲もう!
  • 国産ワインもカーボン・マイレージでみると、東京に近いのは山梨、長野、山形、北海道の順。東京で飲むには山梨県産ワインがもっともいい!

さらにワイナリーへの提言として、ソーラーシステムの完備や温暖化対策のブランド化などをラベル表示でアピールする仕組みづくりの必要性も指摘していました。

ただ、ワインはあくまで嗜好品。最後は「温暖化対策を意識しつつも、おいしいワインを楽しんでください」とまとめていました。なるほど!!

温暖化問題を考えるスパークリングワインの試飲もありました。

20080724_2
このうちの1つは、英国産。温暖化の影響で、発泡ワインで知られるフランス・シャンパーニュ地方は最適地が英国南部に移動するとも言われています。英国産の銘柄は「リッジビュー メレ キャヴェンディッシュ 2003」(ピノ・ノワール35%、ピノムニエ27%、シャルドネ38%。瓶内2次発酵)。ワイナリーはサセックス州南部。1994年に創立し、99年産(ヴィンテージ)から生産。ちなみにテイスティングの結果は、4種類のうちシャンパン(モエ)を当てた以外は全滅でした(苦笑)。

2008年07月24日|個別ページ

ページのトップへ

記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。Copyright 山梨日日新聞社 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.