EUワイン改革
山梨大で先日開かれた日本ブドウ・ワイン学会のセミナーで、ワインライターでワインエデュケーターの安田まりさんによる講演を聴きました。
安田さんはクロアチアワインに造詣が深く、2005年に都内で開かれたセミナーで講師をされた時、個人的に聴講したことがあります。テーマは、米カリフォルニアで主に栽培されている赤ワイン用品種ジンファンデル(Zin)のルーツ。どうやって米国に来たのか、「アゴストン・ハラジー説(※)」など諸説ある中、DNA鑑定でクロアチアの「ツュリエナック・カシュテランスキ」という品種が同一と突き止めたという発見を初めて耳にしました。
閑話休題。今回のセミナーのテーマは「EUワイン改革とワイン法」。2008年の欧州ワイン共通市場制度(OCM)改革について、大変興味深く勉強になりました。
新しいEUワイン法では、品質分類の規制が消費者にとっては身近な出来事になりそう。これまでの「ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)」「VQPRD(指定地域優良ワイン)」という分類は、来年8月1日から「ワイン」「IGP(保護地理的表示)」「AOP(保護原産地呼称)」の3分類に。テーブルワインに代わる「ワイン」は、従来は認められなかった収穫年と品種を表示できるようになるそうです。
もちろん、各国のワイン法が優先されるとのことですが、フランスもワイン改革を進めていて、現行の4分類「ヴァン・ド・ターブル」「ヴァン・ド・ペイ」「AO.VDQS(上質指定ワイン)」「AOC(原産地統制呼称)」は、来年8月から「地理的表示のないワイン」「地理的表示のあるワイン(新OCMのIGP)」「固有の特徴を持つテロワールに基づくワイン(AOC-新OCMのAOP)」の3分類になるとのこと。
フランスはこのほか、5カ年計画で数値目標を掲げて輸出量の拡大や付加価値の増大に向け取り組みをスタートさせたとのことです。生産過剰に悩むヨーロッパ。世界はダイナミックに動いていますね。
※アゴストン・ハラジー ハンガリー人。「カリフォルニアワインの父」と言われ、1860年、ヴィニフェラ種を300種移植した。
(2008年12月03日更新)