トップページへ

圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

ワインのアロマ

山梨県ワイン酒造組合の「若手醸造家・農家研究会」(武井千周代表)は、山梨大甲府キャンパスで、2回目となる官能評価勉強会を開きました。今回のテーマは「ワインのアロマ」。講師は甲州市勝沼町の丸藤葡萄酒工業、安蔵正子さん(ボルドー大学・ワイン利酒適正資格取得)です。

20090223_1

ワインの香りは、ブドウ由来の「第一アロマ」と、発酵由来の「第二アロマ」、熟成由来の「第三アロマ(ブーケ)」に分けられます。今回は第一、第二について学びました。8種類のサンプルがテーブルに並び、実際に香りを確かめました。

20090223_2

以下は8種類のサンプルです。
▽第一アロマ
・ゲラニオール(バラの香り)
・リナロール(ラベンダーの香り)
・シトロネロール(レモンの香り)
・アントラニル酸メチル(※ラブルスカ種・※フォクシーフレーバー)
・β-イオノン(スミレの香り)
・β-ダマセノン(焼リンゴ、南国のフルーツの香り)

▽第二アロマ
・3MH=3-メルカプトヘキサノール(グレープフルーツ、パッションフルーツの香り)
・IAA(エステル)酢酸イソアミル(バナナの香り)

サンプルを使って特定の香りだけを確認する作業は、とても貴重な経験でした。「β-イオノンは遺伝的にかげない人がいて、その数も結構多い」(安蔵さん)とのことでしたが、記者にとっても非常にかぎ取りにくい香りでした。でも、スミレの香りって赤ワインでよく使っていますが、その根拠は何によっているのでしょう…。

今回は、ワインのテイスティングも充実していました。テーマは3人の醸造家が感動したワイン。その銘柄を紹介いたします。
▽ラシーヌ(ロワール、クロード・クルトワ氏のワイン)=小山田幸紀氏(ルミエール)
▽ニコラス・カテナ・サパータ(アルゼンチン・メンドーサ)=渡辺直樹氏(サントリー登美の丘ワイナリー)
▽ラ・フルール・ペトリュス(ポムロール)=武井千周氏(マンズワイン)

※ラブルスカ種 アメリカ系ブドウ
※フォクシーフレーバー ヨーロッパ人の好まない香り

2009年02月23日|個別ページ

ページのトップへ

発芽促進剤を塗る

花粉が飛び舞う15日。丹精込めてブドウを育てるため、畑で黙々と作業をしました。

まずは「枝磨き」です。剪定(せんてい)ばさみで、過日切り残した枯れ枝などを除去し、枝をきれいに整えていきます。

20090218_120090218_2

芽のわきから伸びた小さな枝が結構多かったです。

20090218_3

このところのぽかぽか陽気が影響してか、枝の切り口に樹液をじんわりとにじませる枝も見られました。

20090218_4

そして、発芽促進剤「メリット青」を芽に塗布。鉛筆大の太さの長梢に的を絞り、芽吹きやすい先端から2芽を飛ばして、ローラーをかけていきました。

20090218_520090218_6

備忘録として、昨シーズンのカレンダーをこのブログをもとにまとめてみました。
▽発芽 4月20日ごろ
▽展葉 4月28日ごろ
▽開花 6月6日ごろ
▽ベレーゾン初め 7月31日
▽ベレーゾン 8月3日

2009年02月18日|個別ページ

ページのトップへ

09年始動

今年もいよいよ作業が始まりました。7日に剪定(せんてい)を行いました。冬季の剪定は、果実が付く芽の数を限定するのが目的となります。

マンズワインの中山正男さん(写真左・中央)と、武井千周さん(写真右・左)に指導していただきました。

20090210_120090210_2

昨年伸びた枝を間引いていきますが、2シーズン目の今年は「長梢(ちょうしょう)剪定」にするとのことです。昨年の若枝が伸びたのが「長梢」。残す枝を見極めていくのですが、実際にやってみると「どこをどう切ればいいの?」と頭を悩ますことばかりです。ちなみに、この長梢を短く剪定し、2芽にしたのを「短梢(たんしょう)」と言いまして、本格的に収穫する3年目以降は「短梢剪定」にするそうです。

20090210_320090210_4

剪定ばさみの「シャキ」「シャキ」という音が心地よく畑に響きます。鉛筆より明らかに細い枝は2芽ほど残して、思い切って切り落としました。今年の成長に期待をかけます。

20090210_5

剪定した枝の片付けも大切な作業です。

短梢剪定は作業のしやすさが利点です。中山さんからは「ブドウの枝は先端にいくほど優勢となりますが、メルローはその傾向が顕著です。裏を返せば、先端以外はあまり芽吹きがよくないのです。でも、短梢のように2芽しか残さなければ、必ず芽は出てきます」と、教えていただきました。メルロー栽培=短梢剪定に納得です!

下の写真は枝先の2芽以降で芽吹きをよくするための方法だそうです。

20090210_620090210_7

「3月上旬ごろまでに、芽の先5ミリ程度のところに芽傷を入れます」と中山さん。上の写真の中央辺りに「芽傷」がありますが、確認できますでしょうか。特に枝ぶりが強い場合には、2月にメリット青2倍液を芽に塗布する方法もあるそうです。

ボクトウガの被害を受けた枝を発見しました。枝の途中が根のような状態になっています。これは迷わず、切り落とします。

20090210_8

甲府は2月に入ってから暖かい日が続いています。この日はお昼をはさんでの作業でしたが、外で弁当と豚汁を食べるのにちょうどいい陽気でした。

20090210_920090210_10

剪定も終わり、ブドウ畑もさっぱりしたように見えます。

20090210_11

2009年02月10日|個別ページ

ページのトップへ

オフフレーバー

山梨県ワイン酒造組合の「若手醸造家・農家研究会」(武井千周代表)がこのほど山梨大甲府キャンパスで開いた、ワインの官能評価勉強会に参加しました。

テーマは「ワイン中のオフフレーバー(異臭・異味)」。甲州市勝沼町のワイナリー、中央葡萄酒の三沢彩奈さんが講師を務めました。

20090203_1

オフフレーバーの原因別に種類が分類され、大変分かりやすい講義でした。9種類の水溶液を実際に使って、においをかぎ分ける実習もありました。

20090203_2

以下、オフフレーバーを紹介します。

▽ブドウの熟度不足
・ヘキサナール(ハーブ、野菜臭)
・メトキシピラジン(ピーマン臭)

▽微生物汚染・醸造管理
・酢酸(お酢)
・酢酸エチル(セメダイン)
・アルデヒド(青リンゴ様)

・ジオスミン(カビ、土臭)
・TCA(コルク、カビ臭=※ブショネ)

▽揮発性硫黄化合物(原因:残留農薬、SO2、窒素・酸素不足)
・メチオノール(キャベツ、カリフラワー臭)
・エタンチオール(タマネギ、ニンニク臭)

三沢さんは「メトキシピラジンは畑での努力でなくしていけるにおい」「TCAは不衛生だと増え、醸造家のモラルの問題」「醸造家がオフフレーバーを認識するのは大事だが、目的ではない」と解説。武井代表は「においの苦手な分野を知るのは大切」と話していました。

※ブショネ コルク製造時に漂白に使われる塩素がもとでトリクロロフェノールが作られ、この物質がカビと結合すると、トリクロロアニソール(TCA)が発生する。コルクのカビのようなにおいがワインにも伝染し、味わいにも影響する

2009年02月03日|個別ページ

ページのトップへ

ただいま休眠中

本年も頑張って、畑のレポートはもちろん、ワインについてのトピックを含めて更新していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

20090116_120090116_2

現在のブドウ園の様子です。1年のサイクルの中では休眠期にあたります。このところ甲府は最低気温が氷点下と、厳しい寒さが続いています。

下の写真は休眠芽です。

20090116_320090116_4

ブドウ樹はマイナス12~13度までは凍害にならないとされています。ただし、根は耐寒性が弱くマイナス4度まで。もちろん、根はある程度の深さに分布していますが、地表に近い5センチ程度の所にはほとんどないそうです。山梨大での植物学の講義を取材した際に聴きました。

2009年01月16日|個別ページ

ページのトップへ

来期は初収穫の見込み

畑の木々も、すっかりと落葉しました。

20081216_1

10日にマンズワインの中山正男さんが双葉農場を視察され、1年間の総括と来年の作業について指導をしていただきました。

当日立ち会った中村一政専務(山梨放送)によりますと、中山さんは総括として「ブドウの木は順調に生育しており、節と節の間が短く、いくつか幹を切断して髄の様子もチェックしてみたが、問題ない」とのことでした。

そして、「この状態で病気にかからないようにすれば、来年は半作(予想最大収穫量の半分)の収穫(約500キロ)ができて、仕込めるでしょう」と、うれしい言葉がありました。

2008年12月16日|個別ページ

ページのトップへ

納会

ヴィニュロンズクラブの納会がこのほど、甲府市下石田の「カフェ・ラ・トゥーシェ」で開かれました。メンバー22人が出席。冒頭、中村一政専務(山梨放送)から「畑のブドウ樹は落葉し、休眠状態に入りました。お疲れ様でした」とのあいさつがありました。ワインと料理を楽しみながら、来期のさらなる奮闘を誓いました。

20081205_1

この日は畑作業への出席状況に応じて加算する今期の獲得ポイントの発表がありました。上位者(筆者を除く)は、中村専務を筆頭に、野口英一社長、飯田圭滋さん(山梨放送)、奈良田伸司さん(山梨文化会館)、藤木教行さん(山梨放送)でした。

20081205_2_2

また、メンバー限定のPR用シールのニューバージョンが配布されました。デザインはそのままに、素材が透明シートに改良されました。会社の名刺に張って活用します。

20081205_3

この日も、赤ワインはもちろんメルローが主役となりました。

20081205_4

ワインリストは次の通り。
▽クレマン・ダルザス(ルネ・フレイツ・エシャール)
▽クレマン・ド・ブルゴーニュ(レ・ヴィニュロン・ド・オート・ブルゴーニュ)
▽シャルドネ&甲州2007無濾過(メルシャン)
▽千野甲州2007(旭洋酒)
▽メルロー&マスカット・ベリーA2006無濾過(メルシャン)
▽マーガレットリバー・メルロー2005(ファーモイ・エステイト)
▽コート・ド・カスティヨン2004(シャトー・デギュイユ)

2008年12月05日|個別ページ

ページのトップへ

EUワイン改革

山梨大で先日開かれた日本ブドウ・ワイン学会のセミナーで、ワインライターでワインエデュケーターの安田まりさんによる講演を聴きました。

20081203_1

安田さんはクロアチアワインに造詣が深く、2005年に都内で開かれたセミナーで講師をされた時、個人的に聴講したことがあります。テーマは、米カリフォルニアで主に栽培されている赤ワイン用品種ジンファンデル(Zin)のルーツ。どうやって米国に来たのか、「アゴストン・ハラジー説(※)」など諸説ある中、DNA鑑定でクロアチアの「ツュリエナック・カシュテランスキ」という品種が同一と突き止めたという発見を初めて耳にしました。

閑話休題。今回のセミナーのテーマは「EUワイン改革とワイン法」。2008年の欧州ワイン共通市場制度(OCM)改革について、大変興味深く勉強になりました。

新しいEUワイン法では、品質分類の規制が消費者にとっては身近な出来事になりそう。これまでの「ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)」「VQPRD(指定地域優良ワイン)」という分類は、来年8月1日から「ワイン」「IGP(保護地理的表示)」「AOP(保護原産地呼称)」の3分類に。テーブルワインに代わる「ワイン」は、従来は認められなかった収穫年と品種を表示できるようになるそうです。

もちろん、各国のワイン法が優先されるとのことですが、フランスもワイン改革を進めていて、現行の4分類「ヴァン・ド・ターブル」「ヴァン・ド・ペイ」「AO.VDQS(上質指定ワイン)」「AOC(原産地統制呼称)」は、来年8月から「地理的表示のないワイン」「地理的表示のあるワイン(新OCMのIGP)」「固有の特徴を持つテロワールに基づくワイン(AOC-新OCMのAOP)」の3分類になるとのこと。

フランスはこのほか、5カ年計画で数値目標を掲げて輸出量の拡大や付加価値の増大に向け取り組みをスタートさせたとのことです。生産過剰に悩むヨーロッパ。世界はダイナミックに動いていますね。

※アゴストン・ハラジー ハンガリー人。「カリフォルニアワインの父」と言われ、1860年、ヴィニフェラ種を300種移植した。

2008年12月03日|個別ページ

ページのトップへ

紅葉

久々の更新です。ブドウ畑も秋の深まりとともに、葉が紅葉しています。

20081125_120081125_2

秋晴れの23日、全体作業がありました。草取りと殺虫剤の散布です。

20081125_320081125_4

畑を歩き、今シーズン唯一残った小さな房を見つけました。実はしおれています。

20081125_5

落葉植物のブドウは、秋から冬にかけて芽が休眠状態となります。これから落葉期、休眠期に入っていきます。

20081125_6

先日、山梨大ワイン科学研究センターで、岡山大名誉教授の岡本五郎さん(果実学)による講義を聴く機会がありました。岡本先生によると、必要とされる冬季の低温の量は、5度以下に800~1200時間、もしくは0±1度で3週間とされ、低温が不十分だと、発育不良が起こるそうです。

ブドウ樹は秋、デンプンや糖などを根にため込み、来春の開花期まではその貯蔵養分を使うそうです。根に栄養を供給するのは葉の光合成なので、最後の最後まで葉の役割は大きいです。ちなみに、葉と果実のバランスとして、果実1キログラムに対して、葉面積を1万平方センチメートル確保するのが望ましいとのご説明がありました。

2008年11月25日|個別ページ

ページのトップへ

プティ・ヴェルド

まだごく一部ですが、山梨で注目されつつある赤ワイン用品種を紹介したいと思います。
その名が「プティ・ヴェルド(PETIT VERDOT)」。フランス・ボルドーの伝統的な品種で、主に左岸の補助品種。近年はボルドーでも見直されているそうです。一般的には、左岸のメドックやグラーブで主品種のカベルネ・ソーヴィニヨンよりも晩熟とされています。

山梨の赤ワインは色が出にくいと言われますが、丸藤葡萄酒工業(甲州市勝沼町、大村春夫社長)ではプティ・ヴェルドの可能性に手応えを感じ、生産量を増やす傾向にあります。このワイナリーでは、本場でも珍しいプティ・ヴェルド100%のワインも造っています。

20081029_1 写真は、同社の試験園で棚栽培しているプティ・ヴェルド。棚の中でも、一文字短梢という規則性を持たせた方式を導入しています。このブドウ畑では、このほかソーヴィニヨン・ブラン、メルローなども育てています。

20081029_220081029_3
試験園のプティ・ヴェルドは今年、10月上旬が収穫日。ブドウはその場で未熟果などを取り除く選果を行い、醸造場へと運ばれます。

20081029_4写真は、同社の北畑で栽培しているプティ・ヴェルド。こちらは垣根造りで、今年の収穫は10月中旬でした。このほか、この品種の契約栽培もしているそうです。ブドウに笠がかかっているのは晩腐病という病気に弱いため、降雨による感染を防ぐためとのこと。

20081029_5写真は、北畑で栽培しているカベルネ・ソーヴィニヨンです。

20081029_6この日は、北畑でカベルネ・ソーヴィニヨンとプティ・ヴェルドの収穫がありました。スタッフ総出で作業に汗を流していました。今年はどんなワインになるのでしょうか、楽しみが膨らみます!

2008年10月29日|個別ページ

ページのトップへ

記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。Copyright 山梨日日新聞社 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.