2月の休日に、都内で開かれたブルゴーニュワインのセミナーに参加する機会がありました。ブルゴーニュ・マランジュ(村名AOC)から、「ドメーヌ・シュヴロ」オーナーの(※)パブロさん、(※)かおりさん夫妻が来日しているのに合わせ、米国ワインエデュケーター協会日本支部(児島速人支部長)が開きました。テーマは「環境にやさしいブドウ栽培」です。
パブロさんは、数年前に山梨を一度訪れたことがあるとのことでした。このドメーヌの「SAKURA」というロゼワインはお花見にぴったりだと思っていますが、パブロさんの明るい人柄に、あらためてワインに関心を持つようになりました。
パブロさんと話をすると、「マンズワインの武井千周さんと親交がある」。記者はすかさず「武井さんから指導を受けて会社の畑でメルローの栽培に取り組み、いずれワインにします。その様子を紹介しているホームページもあります」と説明しました。夫妻は大変興味を持たれたようでした。
さて、ドメーヌ・シュヴロは近年、有機栽培への移行を進め、化学合成製品の使用を一切中止したとのことです。セミナーでは、取り組みを進める「環境農業」を中心に説明や解説がありました
環境農業は自然環境への配慮を重視しますが、そのためには「ブドウ栽培に対する高等な知識や技術、頻繁な観察、惜しむことのない労働が必要」と話していました。害を与える生物への防止策としては、昆虫類では「天敵」の役割など生物の多様性を挙げ、菌類では摘芯などの予防措置の重要性を指摘。菌類では薬草の説明もあり、例えばうどんこ病に対し、発芽から開花期までの間ならば浸漬したイラクサなどが有効としていました。
まとめに「環境農法で造ったワインは、より多くの味わいを持つ」と強調していました。
最後に、ドメーヌ・シュヴロのアリゴテ、ピノ・ノワール計5種類のワインをテイスティングしました。いずれも繊細で、やさしい印象を持ちました。このうち、「マランジュ・シュール・ル・シェーヌ2006年」(ピノ・ノワール100%)はパブロさんが言うとおり、「すき焼きワイン」として試したくなりました。
※パブロさん 2002年7月からドメーヌ(家族経営、長男)のワイン造りに参加。03年からは醸造家の傍ら、ボーヌの国立農業・醸造職業学校(CFPPA)で非常勤講師として醸造学を教えている。
※かおりさん 航空会社在籍中にシニア・ソムリエを取得し、ボルドー大学醸造学部に留学。03年にパブロさんと結婚。06年にブルゴーニュ大学付属IUTシャロン・シュール・ソーヌ校でワイン・ビジネスの修士号を取得。現在は、主に輸出業務の担当。
2009年03月03日|個別ページ