御柱(おんばしら)祭りは、南アルプス市上今諏訪、下今諏訪にある、諏訪神社上社と下社で7年に一度、寅(とら)年と申(さる)年に行われるお祭りで、長野県諏訪市の諏訪大社の御柱祭りの流れをくんでおり、社殿を建てる聖地に、老若男女すべてが集い、五穀豊穣、無病息災を祈り、ご神木を建てたのが始まりとされています。
上社の祭神は建御名方命(たけみなかたのみこと)で社格は郷社(ごうしゃ)、下社の祭神は事代主命(ことしろぬしのみこと)で社格は村社で、ともに信州諏訪の諏訪明神を勧請(かんじょう)したものと伝えられています。
今諏訪の御柱祭りは、信州のものと比べると規模としては小さくなりますが、華麗な衣装の行列と勇ましい木遣唄(きやりうた)は見応えがあります。
信州諏訪大社では、上社本宮・前宮、下社春宮・秋宮にそれぞれ4本計16本を神社境内の四隅に建てますが、当社では上社、下社でそれぞれ1本計2本が御柱社境内に建てられます。この御柱は、山出しといって3月15日ごろ切り出されます。
御柱祭りの一番の見どころは、神社から始まり地区内を引く里曳(ひ)きの光景です。花傘を背負った露払いの子供を先頭に、青竹の骨組みをいかだで囲い、杉の葉で船べりを作り、高さ2mほどの榊(さかき)が飾られた、長さ5m、幅2mほどの「お船」が子供たちによって引かれます。
次いで御柱が続きます。男の子・青年・大人も混じって引き、介添役もついて、先頭には音頭とりが乗り、木遣を唄い威勢をつけます。次いでみこし、万燈と続き、更に陣笠と鉢巻、野袴(はかま)、白襷(たすき)がけの男女の子供がわらじばきで拍子木を取ります。それに続いて女子の行列で、拍子木・扇子・金棒を持ち、そろいの仮装で列をつくり、最後がおはやしの乗った山車となります。
神事を終えた行列は神社を出発し、「いやさかさー」と音頭が唱えると、行列がこれに唱和します。拍子木が5つ拍子をとると、女子が「やっせ、やっせ」と5回かけ声をかけながら5歩前進し、次いで拍子木が3つ拍子をとると、行列は「やっせ、やっせ」と3歩後進し、ここで音頭が「いやさかさー」と唱えると、女子が右手に持った扇子を挙げて「いやさかさー」と唱和します。
下社では、万燈をもった青年が「やっせ、やっせ、やっせ」と唱えて3歩前進しつつ万燈をグルグル回しては手をかざして「いやさかさー」と叫びます。
上・下社の行列は、午後4時ころ御柱社に会し、みこしとみこし、万燈と万燈が衝突し、おはやしもはやし立て興奮状態となります。そして上下のご神木を太い綱で大勢の力で持ち上げて、総ての神事が終了します。
県下に諏訪神社を祭るところは数多くありますが、御柱の神事を行うのは上下今諏訪の諏訪神社だけです。
この御柱祭り、いよいよ今年2010年(寅の年)4月に開催されます。7年に一度のこの機会にぜひご覧ください。
【南アルプス市教育委員会文化財課】