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 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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【連載 今、南アルプスが面白い】

甲斐源氏秋山光朝ゆかりの城跡を行く
~雨鳴城の踏査から~

 今から800年余り前、南アルプス市秋山に拠った甲斐源氏、秋山光朝の物語は、2007年4月2日号15日号で紹介しました。
 今回は、このほど文化財課が踏査を実施した光朝ゆかりの山城「雨鳴(あまなり)城」の今を紹介したいと思います。
 雨鳴城は、光朝の館跡といわれる現在の秋山熊野神社と、鎌倉方に攻められた光朝の終焉の地といわれる要害「中野城」とをつなぐ場所に設けられた山城です。

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【図】秋山光朝館跡と雨鳴城、中野城

 この城が設けられた雨鳴山は、雨が降ろうとするときに「鳴る」ことがあり、特に夏には雨の降る前には必ず「鳴る」ことからこの名があると言われています。この地で没した光朝の霊魂が無念やる方なくこの山鳴りをおこすとされ、悲劇の武将・秋山光朝の伝説を今に伝えています。
 雨鳴山と光朝の物語は、地域では身近な伝説として知られ、甲西地区では光朝を偲ぶ「雨鳴太鼓」や郷土民謡「ああ雨鳴山」などといった地域芸能も伝えられています。

 文化財課が今回、雨鳴城を踏査した目的は、地域の歴史的資源として遺構の保存状況を把握することはもちろん、地域の歴史に興味を持った皆様が、より安全にこの城跡にアプローチできるルートを確認することでした。

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【図】雨鳴城の縄張図(宮坂武男氏作成に加色)

 南アルプス市側からは、林道甲西線を上り、雨鳴山森林公園から登るのが一般的かもしれませんが、より楽にたどりつくルートは山の反対側、中巨摩郡増穂町平林地区からのルートです。増穂町役場前から平林を抜け赤石温泉に至る県道413号(平林青柳)線沿い、平林地区の隆運寺裏あたりで県道から山側に枝分かれする林道を車で2~3分ほど上ると、天満宮の鳥居が見えてきます。鳥居をくぐり、ここからは徒歩で山道を登ると、15分ほどで山の尾根にひっそり佇む天神さんの社殿を見が見えてきます。そこから北に向きを変え、尾根沿いに登ると、そこから10分もかからず雨鳴山のピークにある雨鳴城の遺構にたどりつくことができます。

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【写真・左】増穂町平林側の登り口の鳥居
【写真・右】山中にある天満宮

 800年余りを経て、現在は植林も進み、近世の城郭と違って、石垣などは用いられていないため分かりにくいのですが遺構の保存状況はことのほか良好で、観察の結果、平らに整地された郭(くるわ)や土を盛り上げて防御した土塁、城の出入口である虎口、土橋などを確認することができました。

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【図】雨鳴城鳥瞰図(宮坂武男氏作成に加色)

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【写真・左】郭(平坦に整地された周囲を土塁が巡っています)
【写真・右】虎口(写真中央部土塁が途切れています)


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【写真・左】堀割(郭と郭を隔てています)
【写真・右】土橋(人ひとりが通れる幅で、中野城とのルートをつないでいます)

 雨鳴城へは、増穂町平林からのルートでは全行程往復1時間ほどの、比較的登りやすいコースですが、途中滑りやすい場所や崖などもあり、登る際には注意も必要です。
 文化財課では、今後とも調査を続け、将来的には、既に登山道や案内板が整備された中野城に続き、この雨鳴城、更には雨鳴城と中野城を結ぶルートについても整備し、市民の皆様がより気軽に、安全に遺跡を訪れてもらえるようにしていきたいと考えています。

 

【南アルプス市教育委員会文化財課】

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