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プロフィール

 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

お知らせ

 南アルプス市ふるさとメールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプス市ホームページやLINEなどで、最新情報や観光情報などを随時発信していきます。

【連載 今、南アルプスが面白い】

がんばれ!!三恵(みつえ)の大ケヤキ

 南アルプス市寺部にある国指定天然記念物「三恵の大ケヤキ」。俗に樹齢千年ともいわれ、全国でも五指に入る大きさのケヤキとして、また山梨県内では全ての木の種類を通じて最も大きな木として、地域の誇りとなってきました。
 
 2012年5月15日 の本欄「新緑萌える~三恵(みつえ)の大ケヤキ~」でも紹介したこのケヤキ、バックナンバーを読んでもらえばわかりますが、これまでも全体を支える支柱の架け替えや発根を促す土壌改良など様々な方法を通じて見守り、一時は衰えた樹勢も盛り返して、昨年も豊かに葉を広げていました。

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【写真】被災前
 
 そんな、ケヤキに異変が生じたのは昨年10月12日。東日本を縦断した台風19号(令和元年東日本台風)でした。折からの強風により南北に延びる幹のうち、北に延びる主要な幹のひとつが折れ、支柱もろとも隣接する農機小屋を押しつぶしてしまったのです。夜間の出来事でした。折れた幹は根元部分で直径1m前後もありました。

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【写真】被災直後
 
 市では、国や県の補助を得ながら、年末に折れた幹や枝の撤去を完了し、2月中旬には、その切り口を整え、殺菌のために薬剤を塗ったり、南側に延びる幹の倒壊を未然に防ぐため、残った北側の幹とこれらを専用のロープで結ぶ(ケーブリング)などして、一応の手当てを終えました。

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【写真】かつての姿

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【写真】現在の姿

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【写真】ケーブリング
 
 ところで、その際折れた幹は、その一部を記録のために引き取り、文化財課で保管することにしたのですが(この部分は直径約80㎝)、樹齢千年ともいわれる三恵の大ケヤキですので、今回この機会に、その年輪を数えてみることにしました。

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【写真】年輪を数える
 
 その結果、数えることができた年輪は200本以上。主幹から分岐した幹でしたが200年以上もたっていました。もちろん元々の主幹部が、これを大きく超える年月を経てきたことは想像に難くありません。
 
 今から200年ちょっと前といえば、日本は江戸時代後期の文化年間(1804~1818)、江戸の町人文化が花開いた時代です。そうなると最初の大きな試練は、文政11年(1828)あたりでしょうか。後に「子年の大風(ねのとしのおおかぜ)(※1)」または、「シーボルト台風(※2)」と呼ばれるこの年の台風は、日本史上最大級の被害をもたらした台風のひとつとして知られています。まだ生まれて数年のか弱い枝は、その強風をまず生き延びたことになります。そして、その後の名だたる台風や降雪に耐え、ついこの秋まで葉を広げていたのです。そんな幹の経てきた歴史に思いをはせるとき、やはり今回のことは残念でなりません。
 
 しかし、片翼を失った形となり、大きく樹形を変えてしまった「三恵の大ケヤキ」ですが、生き残った部分はまだ大きく枝を広げています。

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【写真】現在のすがた

 そして、根元からは、新たなヒコバエ(※3)も生えてきています。今後とも、残った部分を大切に次代につなぎ、またかつてのように人々の憩いの場として再生することを願ってやみません。間近にせまった今年の芽吹きを期待したいと思います。 

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【写真】再び憩える場所へ(被災前)
 
 
※1 襲来した文政11年が子年にあたることからこう呼ばれる。
※2 この台風によって当時日本に滞在中だったドイツ人学者・シーボルトの乗船が座礁し、船の修理の際に積荷の内容物が調べられたことで日本地図の国外持ち出しが発覚、世に言うシーボルト事件に発展したという説があり、こう呼ばれる。
※3 樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと。
 

【南アルプス市教育委員会文化財課】

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