とらちゃん、だいちゃん 二人そろってアルプスメモリーズです。 今月からしばらくの間、二人で南アルプス市の魅力を紹介します。
【写真】薬師岳から見た御来光。昔の人々は山頂に神や仏が住むと考えていた
【写真】地蔵岳とオベリスク
【写真】地蔵岳賽の河原
【写真】地蔵岳で発見された薙鎌(なぎがま)などの鉄製品(帝京大学文化財研究所報第46号より)
【写真】地蔵岳に奉納された芦安中学校の祈願プレート
とらちゃん:芦安出身の女子高生。美人顔。歴女でもある。曽我物語のヒロイン虎御前とかかわりが・・・。
だいちゃん:加賀美出身の女子高生。かわいいが天然とも言われる。甲斐源氏加賀美遠光の娘、大弐局とかかわりが・・・。
だい:夏山の季節だね。
とら:南アルプスって言ったら白峰三山がおすすめよ。北岳、間ノ岳、農鳥岳。北岳は高さが富士山についで日本第二位の山ね。
だい:二位か・・・。
とら:二位じゃだめなんですか。
だい:いや・・・。魅力では北岳がナンバー1だと思ってるし。
とら:白峰三山は「甲斐が嶺」として「古今和歌集」や「平家物語」にも詠われてるのよ。
だい:ててっ。そんな古くから。
とら:鳳凰三山もお勧めね。鳳凰三山って知ってる。
だい:JYKね。
とら:なにそれ。
だい:地蔵岳、薬師岳、観音岳。
とら:知ってるなら略さないの。「鳳凰」の名前の由来には孝謙天皇が湯治に来た伝説と地蔵岳の山の形が鳳凰が翼を広げた姿に似ているっていう二つの説があるの。鳳凰の形をしているって説の方が自然かな。
だい:ほぉーう。鳳凰って小林幸子さんが紅白飛び立つような感じ?
とら:うーん、まああの豪華さは似てなくもないけど。伝説上の不死鳥のことよ。
だい:フェニックス一輝ね。
とら:・・・。お隣の甲斐駒ヶ岳では古墳時代の土器も発見されてるのよ。
だい:ドキっとした。そんな古くから人は山に登ってたの!ありえない。
とら:ありえない?現象には必ず理由があるものよ。
だい:登ってた人、恐竜に会ったかしら。
とら:あのね、恐竜は何億年前。縄文時代は約1万2千年前から。人のくらしの基盤ができた時代なの。《過去のふるさとメールで勉強して。》
だい:受験勉強じゃあるまいし。
とら:歴史に受験のための歴史なんてないわ!
だい:どっかのCMで似た言葉、聴いたことあるわ・・・
とら:とにかく、鳳凰三山と周辺の山々は古くから信仰の山だったのよ。特に地蔵岳山頂にある巨岩は「大日岩」と言われて「大日如来」に見立てられたり、「地蔵仏」と呼ばれ「地蔵」に見立てられたりしてきたの。最近では地蔵のオベリスクって言われるわ。この岩の麓には賽の河原と呼ばれる真っ白な花崗岩が風化した場所があってお地蔵さんがたくさん並んでるの。江戸時代から子授けの仏様として人気があり、たくさんの人がお参りしたそうよ。そして、地蔵岳山頂からはこんなものも発見されてるの。
だい:なにそれ。ブーメラン、ブーメラン、ブーメラン?
とら:違うわ。薙鎌(なぎがま)と言って、風除けや雨乞い、結界などのために信州諏訪神社で使われた祭祀具なの。諏訪神社の信仰に関係している場所で発見されることが多いわ。今諏訪の諏訪神社にも御宝物として2点の薙鎌(なぎがま)が納められているしね。
だい:なんだか山の信仰って、「むかしーむかしーのことじゃったー」って感じね。
とら:とんでもない。現在でも人々の願いを託す場所に変わりはないわ。よく知ってる山で日本の人々があることを願っていた山があったじゃない。
だい:三浦さんのエベレスト。いやいや冗談。富士山でしょ。
とら:富士山には自然保護の未来や山梨・静岡の発展など、多くの人の願いが託されてるでしょ。いろんな願いをかなえるため、山に登るっていうのは現代でも変わらないのよ。
だい:それじゃわたしも信仰の旅にでよう。
とら:なにお願いするの?
だい:東京に出てアイドルになる!
とら:どこかで聞いたストーリーね。
【南アルプス市教育委員会文化財課】