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プロフィール

 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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 南アルプス市ふるさとメールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプス市ホームページやLINEなどで、最新情報や観光情報などを随時発信していきます。

【連載 今、南アルプスが面白い】

安藤家住宅の玄関から見る歴史

 前回は、安藤家住宅と雛(ひな)人形のリフォームについて書きました。今回は、安藤家住宅のリフォームした部分の一つである玄関にスポットを当てたいと思います。
 安藤家住宅を訪れた際、受け付けをして土間から履物を脱いで上がっていただくことが多いのですが、実は正式な玄関は別にあるのです。
 安藤家住宅の入り口である長屋門をくぐり、

A長屋門
【写真】長屋門

 さらに中門を抜けた先に

A中門
【写真】中門

 安藤家住宅の玄関が迎えてくれます。

A玄関
【写真】玄関

 これが安藤家住宅の玄関である式台付玄関です。その名のとおり横幅の広い台が設けられており、風格が感じられます。この家を代表する入り口で、ここを使うことができたのは家の主人と公式なお客様だけでした。家族でさえ、ここから出入りすることは許されなかったのです。
 この式台付玄関は、もともとは武家の正式な玄関で、一般の民家に造ることはなかなか許されませんでした。それでは、なぜ安藤家住宅にはこのような玄関があるのでしょうか?
 今でこそ一般家庭には大なり小なり玄関がありますが、当時の民家では玄関構えは造られないのが普通でした。
 安藤家は、周辺に多くの土地を所有して農業を営み、村を代表する名主という役目も務める豪農で、村の人々が年貢を納めたり各種手続きをする、役所のような仕事をしていました。このため武家の役人の訪問も多く、失礼のないようにお迎えするため、また家の格を示すために造られたのです。
 建設当初から公式の客を迎える玄関は何らかの形であったようですが、現在に至るまでに何回かリフォームが行われてきたことが分かっています。
 文献によると、宝永5年(1708)の建築当初は玄関に式台が存在せず、万延元年から2年かけて(1860~62)全体のリフォームをした際に、玄関に式台を設けたという記述があります。ただし、このときの玄関は現在の場所ではなく、現在の中座敷にあたる場所にあったと考えられます。
 現在の式台がいつ造られたのかというと、明治20年(1887)のリフォームの際、中座敷の前に後付けされた玄関を撤去し、それまでのイドコに畳を敷いて玄関の間とし、現在の場所に式台付玄関を設けました。このときに中門も現状のようにリフォームしたことが分かっています。
 このような歴史を感じながら安藤家住宅にご来館いただくと、これまでに訪れたことがある人も、また違った気分でご覧になれるのではないでしょうか。次回のご来館の際は、少し遠回りになってしまいますが、中門をくぐって式台付玄関から入り、安藤家の公式なお客様になった気分を味わっていただければと思います。

A玄関からの眺め
【写真】玄関からの眺め

 

【南アルプス市教育委員会文化財課】

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