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 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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【連載 今、南アルプスが面白い】

不動寺のボダイジュと数珠

 6月を迎え、梅雨時とあって、はっきりしない日が続きます。このような時期に、小さく可憐な花を満開に咲かせてくれているのが、古市場にある不動寺のボダイジュです。山門の脇に根をはるボダイジュの花の、その馥郁たる香りは周囲にひろがり、毎年参拝者や道行く人々に親しまれています。不動寺のボダイジュは、樹高約6.2m、幹回り(目通り)約1m。現在は、市指定の天然記念物となっており、今もその樹勢は旺盛です。

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【写真】不動寺とボダイジュ

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【写真】不動寺のボダイジュ

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【写真】ボダイジュの花

 お寺などに植えられていることが多いボダイジュ(菩提樹)は、中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木です。鎌倉時代の仏教史書『元享釈書』によれば、日本へは12世紀に臨済宗の開祖栄西によって中国(宗)の天目山より初めてもたらされ、まず筑前(福岡県)の香椎宮に植えられた後、東大寺、建仁寺に移植されたといわれます。その後全国へ分植されていったのでしょう。
 ちなみに、ご存知の方も多いと思いますが、釈迦がその木の下で悟りを開いたという「菩提樹」は、クワ科イチジク属のインドボダイジュで、現在日本において広く認知されるボダイジュとは種がまったく異なります。一説には、中国では熱帯産のインドボダイジュの育成には適さないため、葉の形状が似たシナノキ科の本種をボダイジュとしたともいわれています。

 ボダイジュの実は硬く、しばしば僧侶などがもつ数珠の材料としても用いられたようです。実際、先月ご紹介した十日市場の二本柳遺跡からは、火葬骨(遺灰)を入れた木棺から、副葬品としてボダイジュの実で造った数珠が発見されています。
 この木棺は、戦国時代のものと考えられ、中には、数珠や火葬骨のほか、古銭6枚(六道銭)、2枚重ねの土器の皿にのせられた稲穂が見つかり、中世の葬送儀礼を知るうえで貴重な発見といわれています。

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【写真】二本柳遺跡の木棺(戦国時代)(※1)

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【写真】二本柳遺跡の木棺(内部)(※1)

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【写真】二本柳遺跡で発見されたボダイジュの実(※1)

 最後に、蛇足ながらこの原稿を書くにあたり、不動寺のボダイジュの実を拾い、実際に数珠を作ってみました。なかなか素朴で味わい深い仕上がりだと思うのですがいかがでしょうか。

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【写真】不動寺のボダイジュで作った数珠

(※1)山梨県教育委員2013「二本柳遺跡」『山梨県埋蔵文化財センター調査報告書』第183集より

【南アルプス市教育委員会文化財課】

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