獅子舞とは、疫病退治・悪魔払いをするため、祭り囃子(はやし)にあわせて獅子頭をかぶって舞い踊る日本の伝統芸能の一つです。
日本の獅子舞の始まりは、16世紀初め、伊勢の国で、飢饉(ききん)や疫病を追い払うために獅子頭をかぶり、正月に獅子舞を舞わせたのが始まりといわれており、その後室町時代から江戸時代の初めころに「江戸大神楽師」「伊勢大神楽師」と呼ばれる団体が全国を獅子舞を踊りながら回り、悪魔払いをしたのがきっかけで、日本各地に急速に広まったと言われています。
西南湖の獅子舞は、明治20年ころ、隣の和泉地区の青年が質入れした衣装一式をもらい受け、道祖神祭りの厄払い行事として青年会が始めたのが発端と言われており、市の文化財に指定されています。
初めは女獅子の平舞(一人が獅子の面をかぶり、一人が着物の裾を持って集落の各戸を短時間舞い歩くもの)だけでしたが、その後、年を重ねるにつれ、鳥さし踊り、梵天(ぼんてん)舞、厄舞、狂い獅子、お亀など変化のある舞い方をするようになり、二人で舞っていたものが、太鼓と横笛を加えて四人一組で舞うようになりました。
当初は、青年が受け持ちで舞っていましたが、内容が複雑化し、練習に時間がかかるようになったため、特定の人が踊るようになりました。
大正の中ごろになると、獅子の塗りがはげたり、色があせたりしてきたため新調し、それが現在まで使用されています。
現在は、西南湖獅子舞保存会が中心となり、新築した家や、結婚・出産・成人した人がいる家、また厄年に当たる人がいる家などで、年舞・三段舞や、梅川忠兵衛、八百屋お七など、さまざまな浄瑠璃を日本舞踊風に舞うなど、独特な舞が見られます。
紹介した写真は、西南湖地区にある、国重要文化財・安藤家住宅で行われた獅子舞の様子です。年が明けた1月には、また安藤家にも獅子舞が来る予定です。
興味のある方は、ぜひ安藤家にお越しいただき、歴史ある西南湖の獅子舞を見学されてはいかがでしょうか。
【南アルプス市教育委員会文化財課】