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 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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2010年8月

【季節の便り】

南アルプス市には、元気な100歳がいっぱい!

 夏休みも半ばを過ぎ、子どもたちも夏休みの宿題に追われる時期になりました。交通渋滞に見舞われながらも、お盆休みに帰省して、先祖の墓参りや父母の元気な顔を見て、安心された方も多いことと思います。

 8月の前半、東京都をはじめ、全国で多くの高齢者が消息不明となっている実態がテレビや新聞で取り上げられていましたが、南アルプス市では、100歳以上の高齢者で、消息が分からない方は一人もいませんでした。ご安心ください。当市では100歳以上の方には、毎年民生委員さんと一緒に市長以下、市の幹部職員が訪問し、敬老祝い金(3万円)を直接お渡ししています。また、隣近所で組織している組(自治会)もしっかり機能して、近所に何か変わったことはないかと心を配り、見守り合っています。

Malps100815_01 また、「広報南アルプス」では、100歳の誕生日を迎えた方を訪問し、写真で紹介しています。7月も東條さとじさんを訪問しました。東條さんは、百人一首などの歌を詠むのが大好きで、自作の書を部屋に飾ったり、知人にプレゼントするのが楽しみとのこと。

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 ちなみに、当市の最高齢者は、8月1日現在で、104歳の女性です。男性の最高齢者は103歳の方で、100歳以上の方は33人います。このうち、男性は3人、残り30人は女性です。

 先ごろ発表された平成21年の日本人の平均寿命では、男性が79.59歳、女性は86.44歳でした。日本の女性のたくましさを改めて認識した次第です。

 さて、毎月15日恒例のイベント情報ですが、市内では9月中旬から10月はじめにかけ、小学校や保育所などの運動会が続くせいか、大きなイベントはありません。でも、おいしい果物にはこと欠きませんので、夏休み最後の思い出に、遊びに来てください。

[南アルプス市 秘書課]

【連載 今、南アルプスが面白い】

江戸時代、御勅使川扇状地の畑作文化

 では前回の謎かけの答えから。「お月夜でも焼ける扇状地」とかけて「連敗した試合について聞かれたサッカー選手」と解く。その心は「どちらもかんそう(乾燥・感想)に困っています」。

 江戸時代に入ると、乾燥した扇状地で育てられた作物の様子が、よりはっきりと分かるようになります。その手がかりとして、村ごとの主な生産物が書かれた、現在の市政要覧ともいえる村明細帳をのぞいて見ましょう。「お月夜でも焼ける」とうたわれた原七郷(上八田・在家塚・西野・上今井・桃園・吉田・小笠原)の一部の村々の作物をリストにしてみました(表1)。リストから読み取れるのは、粟(アワ)や稗(ヒエ)、麦、蕎麦(ソバ)などの雑穀や大豆、大根、菜などを栽培した畑作中心の食文化です。

▼【表1】村明細帳から見た原七郷の主要作物(クリックで拡大)
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 江戸時代、原七郷の村に立ち寄った旅人の日記にも、畑作の麦や蕎麦を使った食べ物が登場します。山梨県立博物館の植月学さんによれば、甲斐国に来訪した宮崎県の修験者・泉光院(せんこういん)が、文化12年(1815)、下今諏訪村、在家塚村に立ち寄った際、村の人々から「蕎麦切り」や馳走として「当国の名物ハウタウ」が振る舞われたそうです(『甲州食べ物紀行 山国の豊かな食文化』)。現在山梨を代表する郷土料理の「ほうとう」も、日々の食卓だけでなく、古くから旅人の胃袋を満たしてきたのですね。

 さらに村明細帳を見ると、主要作物として煙草や木綿が栽培され、農閑期に野菜や柿とともに、村外へ野売りされていたことがわかります。

『文政十一年(1828) 上八田村諸事明細帳写』
耕作之間ニ者男ハ煙草売、其外小商ひニ在町不限罷出申候
さらし柿之義ハ原七郷九ヶ村ニ限リ、国中野売・町在売ニ往古ヨリ仕来リニ御座候


 名古屋大学の溝口常俊さんは、こうした原七郷の畑作と行商を研究し、柿や煙草、木綿などの行商活動が畑作を補い、村の生産力以上の人口を支えた大きな要因であったと考えています(『日本近世・近代の畑作地域史研究』)。

 野売りの担い手は後に甲州商人と呼ばれ、その巧みな商法からマイナスなイメージで語られることもあります。しかし、地味の乏しい土地だからこそ、村の枠を飛び超えてビジネスを行う、たくましい風土を育てたとも言えます。ご先祖さまたちは厳しい自然と向き合いながら、知恵を絞り、外の世界へ活路を見出し、畑作物と行商のくらしを築き上げてきたのです。

 では最後に謎かけをひとつ。

 「原七郷で作られた柿」と掛けて「国指定重要文化財、江戸時代の古民家、安藤家住宅」と解きます。その心は? ヒントは本文中に。答えはまた次回。

 

[南アルプス市教育委員会文化財課]