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プロフィール

 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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2008年12月

【季節の便り】

「あんぽ柿」や「ころ柿」がおいしい季節

Malps081215_1 最近あまり見かけなくなったもののひとつに、水分がなくなり干からびたようになって家の軒下に並んでつるされている渋柿の風景があります。
 市内の農家でも昔から盛んに「あんぽ柿」や「ころ柿」を出荷していたようですが、農業の高齢化とともにだんだん姿を消していき、最近は扱っている家も少なくなりました。
 高級品として暮れのお歳暮やお年賀用に東京の市場に出しているという農家の「あんぽ柿」や「ころ柿」は、子どものころから見慣れているものとはずいぶん違います。大勢の人たちの手により一つひとつ丁寧にごみなどを取り除き、きれいな袋に入れ化粧箱に詰めたものやカゴ盛りがあり、手が込んでいてびっくりしました。
 これほど手間のかかる作業をしているのを見ると高級品として扱われているのも納得できます。
 ちなみに、あんぽ柿は65%の水分を抜いた半分生の状態で、ころ柿は75%の水分を抜くことで白く「こう」が出ているものを言いますが、知っていましたか。
 また、あんぽ柿の賞味期限は20日間、ころ柿の賞味期限は1ヶ月(保存の状態によっては1年間も可能とか)ということです。
 今が旬のあんぽ柿、12月中旬には出回るころ柿、一度ご賞味ください。

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【南アルプス市 広聴広報課】

【連載 今、南アルプスが面白い】

一つ目小僧がやってくる ~芦安沓沢の昔ばなし~

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沓沢集落
 木々の紅葉と舞い散る落ち葉に深まる秋を感じていたのもつかの間、いつのまにか年の瀬迫る慌ただしい師走に入りました。今回ご紹介するのは、芦安地区の沓沢集落に伝えられる、ちょうどこんな肌寒い師走の昔話です。

 木こりの太郎助は、村の衆と山小屋に泊まり込んで山仕事をしていました。12月のお松節句の頃(13日)になると、仲間はいつものように正月準備のため村へ帰ることにします。しかし働き者の太郎助は、もっと稼ごうと1人残ることにしました。村の衆がいなくなった山の中はうって変わって静かになり、夕闇が深くなるにつれ、太郎助は心細くなりました。仕事もそこそこに山小屋に引き上げてきたところに「オーイ」と呼ぶ声。誰かと思い外に出てみると、そこに立っていたのは満月のような目が一つ、口は耳元まで裂けた一つ目小僧でした。恐ろしくて震え出した太郎助は、勇気を振り絞り、燃えさしを怪物の目玉めがけて投げつけます。すぐに鍵をかけ、布団にもぐり込んで、怖さに震えながら一夜を明かすと、朝、一目散に村へ逃げ帰りました。その後、あまりの怖さから太郎助は亡くなってしまいました。村の人々は欲張りの太郎助を一つ目小僧が懲らしめたのだと言ったそうです。

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 太郎助を「欲張り」と決めつけるのはなんだかあわれな感じもします。「働き者」であった太郎助は、なぜ一つ目小僧のために死んでしまうことになったのでしょうか。それを解く鍵は誰もが知っている「一つ目小僧」にあります。

 関東周辺で一つ目小僧が現れる日は実は決まっていて、12月8日と2月8日前後に集中します。沓沢でも師走の他に2月3日節分の日にも一つ目小僧が現れると信じられ、今でもバリバリの木の枝に鰯の頭を刺したものを魔よけとして玄関に飾っています。この信仰は「コト八日」と呼ばれる民間信仰で、古くから日本各地で行われていました。各地でさまざまな言い伝えがあるため、ひとくくりにはできませんが、この日は神様が移動する日とも考えられ、それゆえ人は神の姿を見ないよう家にこもり、物忌みする地域も多いのです。

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玄関に吊るされたバリバリの木と鰯

 12月13日に山仕事をせず、正月支度をする沓沢の風習は「コト八日」の慣習の一つであったのでしょう。太郎助が一つ目小僧と出会ってしまったのは、12月13日には山仕事をしないという古い約束事を破ったからなのです。一つ目小僧の昔話は山とともに生き、山の神を信仰してきた沓沢の人々の伝統を今に伝えています。

 ちなみに、この一つ目小僧、小正月に行われるどんど焼きにも関係しています。沓沢の言い伝えによれば、12月末に悪神がやってきて、病気になる人を帳面に付けます。その帳面を悪神は正月の間、道祖神に預けますが、村人を守る道祖神はそれをどんど焼きで燃やしてしまい、村人の1年間の健康を保証するのです。別の地域では一つ目小僧を悪神とする例が多く、沓沢でも「一つ目小僧=悪神」であったとも考えられます。

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沓沢集落のどんど焼き

 12月は一つ目小僧がやって来る季節。たまには家にこもってくつろぐことが必要かもしれませんね。

 

【南アルプス市教育委員会文化財課】

【季節の便り】

通勤途中の“美しい驚き”

Malps081201_01 毎朝通勤する道すがら、いろいろな光景を目にします。その中で特に美しく印象に残ったのが、多くの家に植えられていたピラカンサスの木です。
 前回は写真なしで取り上げましたが、大きな木に丸くかわいいオレンジと赤の実がびっしりと付いた様は豪快で、その姿を見ていただきたいと思い、今回は掲載しました。

Malps081201_02 また、その近くにはみかんが実っている木を見つけて驚いています。この土地に、こんなに立派なみかんが実っていたなんて…。ひょっとして、これも温暖化のせいでしょうか。

クリスマスのプレゼントには…

 師走に入り、周りが忙しくなってくると市内の花卉(かき)栽培を手がけている農家では鉢植えの花の出荷に追われます。毎年、この時期はクリスマス商戦に向け、温度調節をしながら花の咲く時期を調整しているとのこと。南アルプス市で育った花が、もしかしたらあなたのもとにクリスマスプレゼントとして届くかもしれませんね。

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【南アルプス市 広聴広報課】

【連載 今、南アルプスが面白い】

堤の原風景(2) 現代に残る霞堤

 前回ご紹介した霞堤は、現在でも市内でわずかに当時の姿を見ることができます。今回のふるさとメールでは、霞堤を訪ねる散歩に出かけましょう。

 まず、霞堤に出合えるのは、国道52号線に架かる御勅使橋のたもとから御勅使川沿いの道に入り、東へ進んだところです。堤防と堤防の間には広く空き地が広がり、今でも遊水池が確保されていることが分かります。少し注意深く観察しながら歩くと、不連続に続く小高い盛り土が次々と現れ、途切れている堤防の形を実感することができます。現在の道は堤防を土台として造られているので、足の下に霞堤を感じながら、かつて遊水池であった低い土地に下り、そしてまた次の堤防の道上に上ることを3回ほど繰り返すと、信玄が開削したとの伝承が残る「堀切」にたどり着きます。

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現代に残る霞堤(御勅使川堀切付近)

 今度は、野牛島にある旧運転免許センター付近に足を延ばしてみましょう。旧運転免許センターの北側を東西に走る県道甲斐芦安線は、明治時代まで御勅使川の流路のひとつである「前御勅使川」であったことは以前ご紹介しました。その県道上にある野牛島の交差点の北西側の住宅の合間に、前御勅使川の左岸を守る霞堤の一部がひっそりと残されています。堤防の上には富士浅間神を祭る小さな祠(ほこら)が建てられ、かつては「富士講」が行われていたそうです。

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【左】野牛島に残る前御勅使川左岸の霞堤
【右】霞堤の上に祀られた富士浅間大神祠

 一方、旧運転免許センターの南側を見ると、こんもりとした土手が東西に続いていて、その上が道路となっています。この土手も御勅使川の右岸を守っていた霞堤から続く古い堤防の一つで、堤防がある徳永地区の旧村社熊野神社にちなみ、「お熊野堤(おくまんどい)」と呼ばれてきました。戦後、県道沿いの開発が進み、不要となった前御勅使川堤防はそのほとんどが削平され、道路や住宅に姿を変えました。その中で、御熊野堤は前御勅使川の堤防の姿を留めている数少ない遺跡の一つとなっています。

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【左】前御勅使川(旧運転免許センター付近)
【右】お熊野堤

 また、旧運転免許センターの北側に目を向けると、現在は平らな駐車場が広がっているだけで堤防の姿は見られません。しかし、発掘調査によって駐車場の地面の下から石積みの前御勅使川堤防が発見されました。現在、目にすることができるかつての堤防は多くはありませんが、まだ多くの霞堤が私たちのすぐ足元に眠っているかもしれません。

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発掘された前御勅使川左岸の霞堤(旧運転免許センター駐車場)

 

【南アルプス市教育委員会文化財課】