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圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

【レポート】ヴィンヤードハック

6月4~6日の3日間、甲斐市大垈のサントリー登美の丘ワイナリーで、醸造用ブドウの栽培技術や研究成果を発表するシンポジウム「ヴィンヤードハック2014」(サントリーワインインターナショナル主催)が開かれました。

同ワイナリーのスタッフや、三重大、東京大の研究者が中心となり、ワインの品質向上を目指して企画。2回目となる今年は、ブドウ栽培家や研究者、ジャーナリストら約30人が参加しました。最新技術、ブドウ栽培、テロワール(地方特有の個性)などをテーマに、日本の風土ならではの魅力を引き出すブドウづくりについて議論しました。

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ブドウ栽培をテーマにしたプログラムのうち、「剪定理論を含むブドウのキャノピー・マネージメントについて」と題して講演した農業生産法人「i-vines」(アイ・ヴァインズ)代表の池川仁さんの講演をレポートします。キャノピー・マネージメントとは、ブドウ樹の仕立て方の管理を指し、樹勢の調節、樹形の維持、品質の安定、収量調節などのためには極めて重要なものです。

講演要旨は以下の通りです。

・剪定は生育に一番影響を与える栽培技術である。剪定は目的ではなく手段であり、仕立て方を真似ることではない。

・キャノピー・マネージメントを生育ステージごとに7つに分けて考える。
(1)開花前の弱い摘心摘房と芽かき 誘引
(2)結実後からヴェレーゾン前までの一律摘心と除枝
(3)ヴェレーゾン初期(硬核期)までは、基本的に摘房しない
(4)水ストレスの解放(硬核期から着色初めまで)
(5)ヴェレーゾン期に摘心はしない
(6)除葉をしない理由
(7)樹勢が強いときは秋季剪定をする
※以下は、7つのうちの主な点の補足説明。

・キャノピー・マネージメントのイメージとしては、日本の場合、新梢管理をするという位置づけが一番近い考え方。日本のように十分な水分がある条件では通常、樹勢は強まる。日本では、弱めに育てて、強めに管理するというのがブドウ栽培の基本だと思っている。

・ヴェレーゾン(色づき期)は生育ステージの大きな切り替えの時期。種が硬くなる「硬核期」までは基本的に摘房はしない。ヴェレーゾン前は通常、梅雨時なので早い時期に摘房すると栄養成長で枝だけが繁茂してしまう。

・ヴェレーゾン初期に水ストレスがかかることによって糖度上昇や着色などが進むという理論が正しければ、山梨では水分ストレスがかからない。この時期に、収量を一気に落とすことを、私は「水ストレスの解放」だと考えている。仮に100房あるとして、栄養成長にならないように負担をかけてきた。それをそのまま最終的にもっていくと、糖度は上がらず、着色も進まない。一方、あまり早い時期に収量を制限すると、枝はどんどん伸びていく。それらを防ぐため、硬核期からヴェレーゾン初期に摘房するのが一番いい。例えば、この時期に100房あるのを10房にすると、養分の流れは今まで100に分配されていたのが10に集中される。水ストレスを解放することが、もしかしたら水ストレスを与えることと同じになるのではないかと考える。

・ヴェレーゾン期に入った後は、2次成長するのでどうしても景観が若干乱れるが、そこを摘心するというのは、整枝の中で一番やってはいけないこと。特に樹勢が強いときは、ヴェレーゾン期には一切摘心をしない。

・山梨の場合、例えば猛暑の時に除葉をしたものは直射日光が当たって果実自体にダメージを与えてしまう。梅雨があるので、果実自体が乾燥している環境のブドウ産地に比べて組織が柔らかいイメージがある。35度を超えるような急激な気温上昇を考えると、葉っぱの重要性を感じている。徐葉よりも枝を除去することによって、適切な葉面積を維持した方がいいと考えている。

(2014年06月27日更新)

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