南アルプスについて学ぶ連続講座「南アルプスの自然と文化~富士山との比較で探る」(山梨県立大地域研究交流センター主催)が21日、甲府・県立大飯田キャンパス講堂で始まった。初回は「南アルプスの山岳景観」と題し、芦安山岳館館長の塩沢久仙さんと県埋蔵文化財センター元所長の新津健さんが講演した。 塩沢さんは、甲府盆地から臨む南アルプス連峰の景観を紹介。現在南アルプスが抱える問題として鹿の食害や表土流出を挙げ、「10年20年先を見据えた対策を、官民一体となって考えることが重要」と訴えた。新津さんは、人間の営みと自然のつながりを示す景観として、鳳凰三山観音岳の「農牛」や富士山の「農鳥」などの雪形を紹介した。 約90人が参加。甲府市の画家井上武さんは「南アルプスの自然と文化を知ることは、観光の質をより高めるためにも重要と感じた」と話していた。 講座は9月22日までの計5回。次回は8月11日、「南アルプスの形成史の進歩と山麓遺跡」をテーマに講演がある。
(写真)南アルプスの課題などについて話す塩沢久仙さん=甲府・県立大飯田キャンパス
【山梨日日新聞 7月22日掲載】