芦安山岳館は、山梨日日新聞社とタイアップして「芦安山岳館メール」を発信しています。南アルプスの最新情報や観光情報、山梨日日新聞に掲載された山岳に関係する記事などをサイトに掲載し、さらに会員登録者にはダイジェスト版メールもお届けします。お楽しみください!

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プロフィール

 南アルプス芦安山岳館は、2003年3月21日に開館しました。山岳文化の発掘と研究・継承、自然保護や安全登山の普及、山を仲立ちとしたさまざまな交流の実現を目的としています。氷河時代から数万年を生き続けるキタダケソウやライチョウが住む3000メートルの高山、生活と結びついて文化や産業、技術を育ててきた里山。芦安地域は自然、文化ともに魅力に満ちた地域です。山岳館はその一端を知っていただく施設です。また、この施設は、県産材の利用促進を図ることを目的としたモデル的施設でもあります。多くの方に見学していただき、県産材の良さを知っていただきたいと思います。

お知らせ

 南アルプス市芦安山岳館メールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプスNetやFacebookなどで、山岳情報や観光情報などを随時発信していきます。

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 こちらをご覧ください。

2012年2月

【山岳館便り】

南アルプスの魅力を再発見

 南アルプス世界自然遺産登録山梨県連絡協議会は19日、南アルプス市櫛形生涯学習センターで、トークショーなどで南アルプスの魅力を紹介する「南アルプス休日山歩」を開いた。
 若者に山についての関心を持ってもらおうと企画。女優で登山雑誌のモデルも務めるKIKI(キキ)さんや、登山系のイラストレーターなどで活躍する鈴木みきさんをゲストに招いた。
 トークショーでは、2人が一緒に登った仙丈ケ岳の写真を披露し、「頂上からは富士山と北岳が重なった景色を望むことができる。氷河の跡として残っているカール地形も楽しめる」と紹介した。
 来場者との質疑応答では、これまで山と関わってきた経験を基に、キキさんが「南アルプスは登るたびに新たな魅力を発見することができる」と話し、鈴木さんは「山を通じていろいろな人と出会うことができている」と笑顔で語った。
 静岡大理学部の増沢武弘特任教授や南アルプス芦安山岳館の塩沢久仙館長らによる「南アルプスの魅力ってなんだ?」と題したパネルディスカッションもあった。

【山梨日日新聞社 2月20日掲載】

【山岳館便り】

甲斐犬の赤ちゃん

【写真】甲斐犬_1  甲斐犬は南アルプス連峰を中心に芦安、西山などを源流として繁殖した犬で、国内でも珍しい原種犬として特別天然記念物に指定されており、その優秀性は高く評価されています。

 甲斐犬の特徴は、青竹をスパッと斜めに切ったように立った耳と、何ものをも恐れない目、顔はごく小さく、行動は極めて機敏です。その強靱(きょうじん)な脚力で険しい岩場でも自由に駆け回り、南アルプスの厳しい自然の中で育まれた耳や鼻などの鋭い感覚でカモシカなどのすみかをすぐに探しあて、たちまち追いつめてしまいます。

【写真】甲斐犬_2 甲斐犬の歴史は古く、江戸時代には鷹匠という職人によって買いとられて、将軍や領主の鷹狩りや巻き狩りで活躍するなど、古くからその能力が認められています。かつての芦安や西山などの猟師にとって、甲斐犬は銃よりも大切な武器であり、猟に出かける時は必ず三匹ほどを連れて行ったそうです。その昔、名取将監という火縄銃をとったら日本一といわれるほどのカモシカ狩りの名人がいたといいますから、芦安とカモシカ、甲斐犬との縁がうかがえます。

【写真】甲斐犬_3  カモシカが昭和9年に国指定の特別天然記念物に指定され捕獲が厳重に禁止されるのと時を同じくして、その頃から数がめっきり減っていた甲斐犬も天然記念物に指定されました。芦安では現在も甲斐犬発祥の地として、愛犬家たちによって繁殖と保護のための保存活動が行われています。

 そんななか、12月の末に南アルプス芦安犬舎に6匹の赤ちゃんが生まれました。生後2か月ほどになりますが、やんちゃに駆け回る姿に「えん丸は、かわいげだなぁ~」と地元住民は心癒されています。

 *芦安の方言で子犬のことを「えん丸と」呼んでいます。

【山岳館便り】

南アルプスの自然と共生の歴史を学ぶ

20120209_019 南アルプス世界自然遺産登録山梨県連絡協議会はこのほど、南アルプス市寺部の若草生涯学習センターで「南アルプス学講座」を開いた。
 山岳関係者ら約70人が参加。南アルプスの世界自然遺産登録を目指した活動の一環として、南アルプス芦安山岳館の塩沢久仙館長が「南アルプスの自然と共生」と題して講演した=写真。
 縄文時代から山の恵みが人間の生活を支えてきたことや山岳信仰発祥の歴史などを紹介。修験道が開拓されたことについての説明では「修行をしていく中で、より困難な登山を求めて頂上を目指すようになり、さまざまな山の開山につながった」と話した。南アルプスの生物の多様性や地質、地形についての解説もあった。

【山梨日日新聞社 2月9日掲載】

【山岳館便り】

川魚の薫製を特産品に

20120202_020 南アルプス市芦安芦倉で温泉旅館「白雲荘」を営む伊東隆雅さん(59)は、芦安地区の特産品を開発しようと、イワナやヤマメといった川魚の薫製の商品化に取り組んでいる。将来的には芦安地区のほかの旅館とも協力して、販売することを目指している。
 芦安地区には特産品と呼べる商品がないことから、「芦安地区を知ってもらうきっかけにしよう」(伊東さん)と考え、芦安の清流のイメージに合う川魚を使った薫製作りを昨年8月に始めた。イワナやヤマメは地元を流れる川では希少であるため、県外の養殖業者から仕入れたものを使って、試作品を作ってきた。
 仕事の合間をぬって試作。魚のはらわたなどを取り除き、塩や香草などを使ったオリジナルの調味料に漬け込んで日陰干しし、最終的にいぶして完成するまで3日ほどかかるという。
 ほかの旅館の協力を得るために試作品を用意。同地区で旅館「なとり屋」を営む名取よし子さん(59)は、「とてもおいしかった。できる限り協力していきたい」と話すなど、評判は上々だ。
 今春までに完成品を作り、販売を始めることを目指している。伊東さんは「薫製を特産品にすることで、地域全体を盛り上げていきたい」と話している。

(写真)イワナやヤマメの薫製の商品化に取り組んでいる伊東隆雅さん=南アルプス市芦安芦倉

【山梨日日新聞社 2月2日掲載】

【山岳館便り】

季節の便り 冬の芦安堰堤

 春夏秋冬、その季節ごとにさまざまな風景を見せてくれる芦安堰堤(えんてい=堤防、ダム)をご紹介します。

 芦安堰堤は、明治時代以降、河川における砂防の重要性が唱えられ、特に明治40年の大水害以来、国の直轄により御勅使川下流の土砂災害を防ぐため、当時の最先端の工法によって旧芦安村芦倉に設置されたものです。この堰堤は、日本の大砂防堰堤7基のうちに入っており、我が国で最初にコンクリートを利用した砂防堰堤で、下部(重力式)と上部(アーチ式)の異なる構造を併せ持つ珍しいものです。

 大正5年12月に起工、重力式堰堤が大正7年に完成します。その後、大正13年にその上部にアーチ式堰堤を増設し、大正15年に完成しました。この増設によって当時国内で最も高い(22.6メートル)砂防堰堤となり、これにかかった建設費は当時の金額で約9万6000円(現在の金額に換算すると5億円以上)といわれ、その半分がセメント代だったといいます。

 県は当時のままの状態で現在も有効に機能していることから、貴重な歴史的建造物と認定し、平成9年に文化財に登録されました。

 今回は冬の芦安堰堤の写真を掲載しました。堰堤をより一層引き立ててくれる木々は、今は寒々しい姿ですが、芽吹きの春にはやまぶき色に、夏は新緑の濃い色とやまぶきの花に包まれ、秋は紅葉に染められ-と、四季それぞれ違った姿を見せてくれています。

【写真】芦安堰堤_1 【写真】芦安堰堤_2

 ぜひ芦安堰堤に足を運んで、この堰堤が私たちの生活にどのように関わりを持つかなど考えたり、魅力を感じていただければと思います。