桔梗ケ原のメルロー(1)
メルシャンがこのほど、長野県塩尻市桔梗ケ原地区で開いたセミナーに参加してきました。長野は日本のメルローの注目産地です。3回にわたって内容をレポートします。
写真は、メルシャン勝沼ワイナリー塩尻分場です。メルシャンは、桔梗ケ原地区の林農園(五一ワイン)が栽培を始めたメルローを1976年から地元農家に広めました。89年の国際ワインコンクールで同社の「桔梗ケ原メルロー」(85年産)が大金賞を受賞、この地のワインを世界に知らせました。
桔梗ケ原のブドウ栽培は1890(明治23)年からの長い歴史があります。現在の塩尻市内の品種別仕込み量をみると、コンコードが全体の約半分、メルローは8分の1程度です。
写真は、メルシャンの契約栽培畑です。いずれもメルローの棚栽培ですが、左は長梢仕立て(※1)、右が短梢仕立て(※2)となっています。メルシャンは棚栽培の場合は、短梢仕立てを推奨しているとのことです。
勝沼ワイナリー・ヴィンヤードマネージャーの弦間浩一さんによると、短梢も長梢も品質に変わりはないとの説明。ただし、「短梢はフルーツゾーンがベルト状に並ぶので、収穫やせん定などが楽。作業の省力化を図ることができます」と話しています。
棚栽培では、冬季せん定、芽かき、摘房と、3回のポイントでの収量制限によって10アール当たりの収量1.7トンを目標にしているそうです。
写真は、一般農家が始めた垣根栽培のメルローの畑。メルシャンの契約農家は現在、2軒が垣根栽培に取り組んでいるそうです。この畑はそのうちの1軒(栽培面積78アール)で、3年前から始めたとのことです。
垣根栽培の場合は収量目標が10アール当たり0.8トンと、棚栽培に比べて半減します。同社は、ブドウの取引価格を糖度でランク付けしていて、一番高いクラスでは1キロ300円以上にもなるそうです。醸造用ブドウとしては思い切った高さです。
※1)長梢仕立て 木1本当たり4本の主枝を「X字」型になるように配置する整枝で知られ、ブドウ農家に広く普及。せん定の時に結果母枝を長く残す。
※2)短梢仕立て 主枝を左右に一本に伸ばしたり、「H字」型になるように配置する整枝方法。結果母枝は枝元の芽を残すだけで切り落とす。
(2008年05月16日更新)