一滴(ひとしずく)への夢
「山日YBS双葉農場ヴィンヤード便り」の記念すべき1回目の配信。取材を通してワイン業界に接してはいたが、まさか自分が生産者側の立場になるとは! 既に3月22日の植樹、29日の畝(うね)づくりとマルチ敷きの2回の作業を終え、筋肉痛の余韻さめやらぬ中、ブログを担当することになった。重労働にもかかわらず、ブドウの木の生育が待ち遠しく感じる不思議さ。これもワインの魅力なのか。まずは計画概要を紹介しよう。
標高350メートルの小高い丘にあるヴィンヤードは、日当たりのいい南向き斜面。見晴らしも良く、眼下に甲府盆地が広がり、富士山や南アルプスを眺望できる。ブドウの栽培面積は17アール。欧州系の赤ワイン用高級品種メルロー(※)を約900本植え付け、2011年秋に初収穫、13年に1000本のワインを造る計画。栽培にあたっては、日本のワイン業界をリードするマンズワイン株式会社勝沼ワイナリーの武井千周さんと、同小諸ワイナリーの中山正男さんから指導を仰ぎ、醸造も同社に委託する。万全のバックアップ態勢に期待が膨らむが、ワインはブドウがすべて。まずはわれわれが、いいブドウを育てなければいけない。
栽培スタッフは、野口英一グループ代表をはじめ、ブドウを育てるために新たに立ち上げた同好会のメンバー総勢24人。フランス語でブドウを育てワインを造る人を意味する「ヴィニュロン」にあやかって、同好会はヴィニュロンズクラブと名付けた。素人集団ではあるが、公務同様(またはそれ以上?)に身を砕き、丹誠込めてブドウを育てていきたいと思っている。一滴(ひとしずく)への夢を求めて。
※メルロー フランス原産の品種。同じくフランス原産のカベルネ・ソーヴィニヨン同様、世界中で広く栽培されている。ボルドーでは、サンテミリオンやポムロールでの主要品種として知られる。収穫期はカベルネよりも早い。
(2008年04月09日更新)