芦安山岳館は、山梨日日新聞社とタイアップして「芦安山岳館メール」を発信しています。南アルプスの最新情報や観光情報、山梨日日新聞に掲載された山岳に関係する記事などをサイトに掲載し、さらに会員登録者にはダイジェスト版メールもお届けします。お楽しみください!

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プロフィール

 南アルプス芦安山岳館は、2003年3月21日に開館しました。山岳文化の発掘と研究・継承、自然保護や安全登山の普及、山を仲立ちとしたさまざまな交流の実現を目的としています。氷河時代から数万年を生き続けるキタダケソウやライチョウが住む3000メートルの高山、生活と結びついて文化や産業、技術を育ててきた里山。芦安地域は自然、文化ともに魅力に満ちた地域です。山岳館はその一端を知っていただく施設です。また、この施設は、県産材の利用促進を図ることを目的としたモデル的施設でもあります。多くの方に見学していただき、県産材の良さを知っていただきたいと思います。

お知らせ

 南アルプス市芦安山岳館メールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプスNetやFacebookなどで、山岳情報や観光情報などを随時発信していきます。

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2012年7月

【山岳館便り】

小学生が山村留学、豊かな自然を体験

20120731_018 南アルプス市芦安芦倉の山村留学施設「南アルプスチロル学園」は26~29日の4日間、市内の小学生を招いて、芦安地区の住民と交流しながら豊かな自然を体験する「夏休み山村留学」を行った=写真。
 親元を離れて生活し、自立心を育てることや、市内の新たな魅力を発見してもらおうと企画。市内の小学3~5年生14人が参加し、3泊4日の日程で、木工などの物作り体験や川遊びのほか、夜叉神峠への登山を楽しんだ。
 若草小5年の沢登美優さんは「緑に囲まれた中で川遊びや動物を見ることができて、夏休みの良い思い出になった」と話していた。

【山梨日日新聞社 7月31日掲載】

【山岳館便り】

行ってきました北岳!

【写真】蔓払い
蔓払い

 南アルプスの開山祭が行われた6月30日~7月1日、芦安ファンクラブ主催のキタダケソウ観察会に同行しました。

 開山祭当日は見事な晴天。見上げた北岳の荘厳な姿に圧倒されました。開山祭では、芦安中学校の生徒による合唱や夜叉神太鼓の演奏に続き、「蔓(つる)払い」の儀式が行われました。払われた蔓の間をくぐって安全登山を祈願し、地元のおいしいおそばをいただいて、いよいよ出発です。

 1日目は白根御池小屋までの約3時間の道のり。急な登り坂の連続でしたが、時折あらわれるツバメオモトやツクバネソウ、サンカヨウといった高山植物に目を奪われ、コマドリやヒガラなどの鳥の楽しげな鳴き声に励まされて、爽快な気分で登ることができました。

【写真】ツクバネソウ   【写真】サンカヨウ
ツクバネソウ   サンカヨウ

 2日目は残念ながら雨模様。それでもキタダケソウに会えると思うと、心はもう3000メートルへ。アイゼンをつけて急な雪渓を登ります。足どりは重くても、確実に近づいてくる出会いにドキドキしていました。登ること約3時間。岩場を乗り越えたその先に見えたのは、一面の白い小さな花たちでした。一瞬時間が止まったように思えました。雨に濡れながら岩陰で咲く愛らしい花を見ていると、ここでしか出会えないこの花が、毎年多くの登山者をひきつけてやまない理由も分かるような気がしました。キタダケソウ観察会の参加者も「キタダケソウが見られて幸せだ」と異口同音。群生地を後にする私の中にも「来年また来よう」という思いがすでに湧いていました。そして最後のサプライズはキタダケソウのお花畑に現れたオスのライチョウ。「雨の中、よくここまで来たね」と言ってくれているようでした。

 【写真】キタダケソウ    【写真】ライチョウ
キタダケソウ   ライチョウ

 日本第2位の高山、さすがに楽な登山はさせてくれませんでしたが、そのぶん、大きな感動を与えてくれました。無事に、そして大きな満足感を得て帰ってこられたことに感謝です!

【山岳館便り】

鳳凰三山、30年ぶりライチョウの繁殖を確認

20120711_001 国の天然記念物で、レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されているライチョウが、南アルプス・鳳凰三山で繁殖していることが確認された。鳳凰三山の山小屋関係者が親鳥とひなの写真撮影に成功した。鳳凰三山でライチョウの繁殖が確認されるのは約30年ぶり。関係者は「定着して毎年繁殖する状況になれば、個体数増加につながる」と期待している。
 鳳凰三山の南東に位置する南御室小屋の従業員、長谷川文さんが9日午前11時ごろ、稜線の登山道付近にいる親鳥1羽と、ひな2羽を写真に収めた。親鳥は砂浴びをしていて、ひなは親鳥の周囲を元気に歩き回っていたという。生息分布域を把握するために捕獲したライチョウに着けている足輪はしておらず、どこから飛来したかは分かっていない。
 1983年に信州大が行った生息分布調査以降、鳳凰三山での繁殖は確認されていなかった。ライチョウの生息分布などに詳しい山梨大の中村司名誉教授によると、鳳凰三山は繁殖の際に卵を産み付けるハイマツ帯が少ないため、「個体数の減少に伴って、ハイマツが群生している北岳や仙丈ケ岳などを繁殖地として選ぶようになった」という。
 南アルプス市などによると、ライチョウの個体数は分かっておらず、最近は南アルプスの北岳、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳で目撃情報がある。長谷川さんは「久しぶりに鳳凰三山でライチョウの繁殖が確認されて良かった。繁殖環境を守っていくためにも、追い回したり、山にペットを連れていくなどの行為は控えるよう呼び掛けたい」と話していた。

(写真)南アルプス・鳳凰三山の稜線付近で確認されたライチョウの親子

【山梨日日新聞社 7月11日掲載】

【山岳館便り】

登山者の安全を願い「蔓払い」

20120701_021 北岳など3千メートル級の山々が連なる南アルプスの夏山シーズンが幕開けした。登山口の拠点・広河原では30日、開山祭(南アルプス市、市観光協会、南アルプス署主催)が開かれ、「蔓払い」の儀式で登山者の安全を祈った。
 開山祭には、関係者約120人が出席。NPO法人芦安ファンクラブのメンバーが明治時代の山の案内役に扮し、豊かな自然を後世に残すことを宣言。高さ約6メートルに組み上げた蔓をおので切り開いた。
 このほか、夜叉神太鼓の演奏や地元芦安中の生徒による「北岳の歌」の合唱が披露された。祭りの後には手打ちそばや、南アルプス市特産の桃が振る舞われた。
 一方、県山岳遭難対策協議会南アルプス支部と同署はこの日、夏山山岳遭難事故防止指導所を開設。登山者に登山計画書の提出を求めるなど、事故防止を呼び掛けた。また、同署が野呂川広河原インフォメーションセンター内に臨時警備派出所を開設した。

(写真)山の案内役に扮した地元住民に先導されて蔓の門をくぐる開山祭の出席者=南アルプス・広河原

【山梨日日新聞社 7月1日掲載】