芦安山岳館は、山梨日日新聞社とタイアップして「芦安山岳館メール」を発信しています。南アルプスの最新情報や観光情報、山梨日日新聞に掲載された山岳に関係する記事などをサイトに掲載し、さらに会員登録者にはダイジェスト版メールもお届けします。お楽しみください!

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プロフィール

 南アルプス芦安山岳館は、2003年3月21日に開館しました。山岳文化の発掘と研究・継承、自然保護や安全登山の普及、山を仲立ちとしたさまざまな交流の実現を目的としています。氷河時代から数万年を生き続けるキタダケソウやライチョウが住む3000メートルの高山、生活と結びついて文化や産業、技術を育ててきた里山。芦安地域は自然、文化ともに魅力に満ちた地域です。山岳館はその一端を知っていただく施設です。また、この施設は、県産材の利用促進を図ることを目的としたモデル的施設でもあります。多くの方に見学していただき、県産材の良さを知っていただきたいと思います。

お知らせ

 南アルプス市芦安山岳館メールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプスNetやFacebookなどで、山岳情報や観光情報などを随時発信していきます。

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2012年6月

【山岳館便り】

平成24年度企画展「南アルプス 登山史を探る」開催!

 「人はなぜ山に登るのか」そんな壮大なテーマに挑んだ平成24年度の企画展「南アルプス 登山史を探る」が6月15日に開幕しました。当日は、南アルプス市の中込博文市長をはじめ、約80名の来賓、関係者が出席し、セレモニーが行われました。

【写真】「南アルプス 登山史を探る」-1   【写真】「南アルプス 登山史を探る」-2

 展示室に向かうと、まず横幅6メートルの白峰三山の雄大な写真が目に飛び込んできます。北岳・間ノ岳・農鳥岳の写真をじっくり鑑賞した後、展示室に入ると、南アルプスの山々を舞台にした登山の歴史を、縄文時代から現代にわたって紹介しています。また、地蔵岳で発見された懸仏や日本近代登山の父ウオルター・ウエンストン氏の原書、北岳の三角点などの貴重な展示品を、白簱史朗氏の素晴らしい写真とともに鑑賞できます。

【写真】「南アルプス 登山史を探る」-3   【写真】「南アルプス 登山史を探る」-4

 縄文時代から現代まで、さまざまな時代背景の中で、人々は山に対してどのような考えをもち、何を感じ、どのように山と関わってきたのかを南アルプスを切り口にして探り、そして、これからの私達はどのように山と関わっていくのか。未来に向けた南アルプスの姿を皆さんとともに考えていきたい、そんな展示になっています。ぜひこの機会に南アルプスの山々の歴史をじっくりと見つめていただきたいと思います。

【山岳館便り】

南アルプスのマイカー規制始まる

 南アルプスの登山口の広河原に通じる林道と県道で25日、一般車両の通行を禁止する「マイカー規制」が始まった。初日は登山者や釣り客ら約50人が、バスや乗り合いタクシーで広河原へ向かった。
 マイカー規制は、夏の観光シーズンに車両の乗り入れを制限することで渋滞を防ぎ、また排ガスを抑えるなどして自然保護につなげる。2004年から始めた。南アルプス林道(夜叉神~広河原間14キロ)と、県道南アルプス公園線(奈良田~広河原間18キロ)の2ルートで、11月9日までの138日間実施する。
 通行者に片道100円の負担を求める協力金制度は今シーズンで5年目。収益はゲート管理費などに充てられる。昨年は全通行者の99・9%に当たる5万8531人が協力した。

【山梨日日新聞社 6月26日掲載】

【山岳館便り】

芦安小中に「英会話科」、特例校の導入を申請へ

 南アルプス市教委は、文部科学省が認定する教育課程特例校制度を活用して、芦安小、芦安中に教科「英会話科」の導入を目指す。両校に特任講師を配置して英語科目の授業を進めていて、教育課程などの研究を重ね、8月に文科省に特例校指定を申請する。
 19日に開かれた6月定例市議会で、横小路允子教育長が清水実氏(かがやき21)の一般質問に答えた。芦安小、芦安中では児童生徒の減少が続き、現在は両校合わせて34人にとどまる。市教委は、少人数校で英語教育の充実を図り、人員確保にもつなげたい考え。
 市教委教育推進課によると、特例校は学習指導要領で定めた教育範囲とは別に、特別な教育課程を編成できる制度。小学校1年生から中学校3年生までが対象で、「総合的な学習」の時間などを活用する。英会話科の授業では、英会話を中心にコミュニケーション能力の向上を目指すという。
 市教委は現在、両校の特例校指定に向け、教育課程の研究などを進めている。市教委は「特例校制度を活用して、より効果的な外国語教育に取り組んでいきたい」としている。

【山梨日日新聞社 6月21日掲載】

【山岳館便り】

南アルプスの登山史を解説する企画展がスタート

20120616_021 南アルプスと人との関わりを紹介する企画展「南アルプスの登山史を探る」(南アルプス芦安山岳館主催、山と渓谷社・山梨日日新聞社・山梨放送共催)が15日、同館で始まった。
 縄文時代から現代に至る南アルプスなどの登山史を紹介。山での狩猟を目的に高原地帯に集落を築いた人間が、農耕の始まりを機に平地に移住。次第に山が神格化され、信仰登山が生まれたことを説明している。測量や近代登山の歴史についてもパネル写真を交えて分かりやすく解説している。
 この日はオープニングセレモニーが開かれ、関係者約70人が開催を祝った。同館の塩沢久仙館長は「南アルプスの埋もれてしまっている歴史を多くの人に知ってもらいたい」とあいさつした。
 企画展は来年5月31日まで(水曜、年末年始休館。7月19日~8月31日は無休)。入館料は大人(中学生以上)200円、子ども(小学生まで)100円。午前9時~午後5時。問い合わせは同館、電話055(288)2125。

(写真)南アルプスの登山史について紹介している企画展=南アルプス芦安山岳館

【山梨日日新聞社 6月16日掲載】

【山岳館便り】

南アルプス登山の変遷をたどる

20120615_022 南アルプスと人との関わりを紹介する企画展「南アルプスの登山史を探る」(南アルプス芦安山岳館主催、山と渓谷社・山梨日日新聞社・山梨放送共催)が15日から、同館で始まる。南アルプスの登山史を伝える貴重な資料が並ぶ中、ひときわ目を引くのが今から60年以上前、北岳の山頂東側のバットレス(大岩壁)の難ルートを初登攀した宮沢憲さんが使っていたピッケルだ。
 宮沢さんは長野県小谷村出身。「風雪のビバーク」の著者として知られ、後に厳冬期の北アルプスで遭難死した松涛明さんと2人で、1948年7月に北岳バットレスの難ルート「中央稜」を初登攀した。当時、雪渓を歩くために宮沢さんが使ったピッケルを、企画展開催を知った家族の協力で、初めて公開する。
 ピッケルは長さ約77センチ、重さ1・2キロ。現在、一般的なピッケルは全体が金属製だが、宮沢さんのものは、木製のシャフトに鉄製のブレード(手に持つ部分)などを接合。シャフトの上部には「宮沢」の名前が刻印されている。
 このほか、縄文時代から現代に至る南アルプスなどの登山史をパネル写真を交えて紹介。山での狩猟を目的に高原地帯に集落を築いていた人間が、農耕の始まりを機に平地に移住。その後に山が神格化され、信仰登山が生まれたことを伝えている。山の神の象徴として山に祭られ、鳳凰三山・地蔵岳で発見された大日如来像の「懸仏」も展示する。
 同館の塩沢久仙館長は「山と共に生活してきた先人の考えや登山史を知ることで、未来の南アルプスの理想的な姿について考える機会にしてもらいたい」と話している。
 企画展は来年5月31日まで。

(写真)宮沢憲さんが北岳バットレスの中央稜を初登攀した際に使ったピッケル=南アルプス芦安山岳館

【山梨日日新聞社 6月15日掲載】

【山岳館便り】

夏山シーズンに向け 準備着々と

【写真】安全祈願祭  南アルプス開山祭を今月30日(土)に控え、今年も登山者の皆さんを迎えるための準備が進んでいます。

 先月25日には、山岳館のすぐ上にある大石山ノ神で安全祈願祭=写真右=が例年通り行われました。山小屋管理者、環境省自然保護官、市の職員、芦安ファンクラブ関係者らが集まり、登山者の安全や天候の安定、山小屋営業の無事などを祈りました。

【写真】荷揚げ また今月初めからは、山小屋営業のための荷揚げ=写真左=が始まっています。一度に揚げる荷物の重量は約500キロ。1回の荷揚げでは10往復以上することもあるそうです。シーズンを通して6回ほど予定されている荷揚げ。登山者の皆さんが快適に過ごせるよう、山小屋のご主人たちも頑張っています。

 開山祭を経て、南アルプスもいよいよ夏山シーズンを迎えます。山に関わる人たちは、南アルプスを訪れるすべての皆さんが、安全に快適に登山ができるよう準備を進めています。今年も、たくさんの登山者の皆さんに南アルプスの素晴らしさを堪能していただけることを願っています。

【山岳館便り】

安全登山のすすめ ~気象の話~

【写真】白根御池 ついこのあいだまで桜の花に奪われていた心も、今ではすっかり若葉の緑に移っています。日によっては半袖シャツで過ごせるようなときもあり「こんな日に山に行ったら気持ちがいいだろうなぁ」と思う方も多いのではないでしょうか。この南アルプス芦安山岳館にもゴールデンウイーク前から、登山に関する問い合わせが増えています。多くの方に山へ登って、その素晴らしさを知っていただきたいと思うと同時に、すべての方が無事に下山されますように…との思いも強まります。

 山では、標高が100メートル上がるごとに気温が約0.5度~1度低下し、1000メートル上がると6度下がります。つまり標高0メートルで20度の時には3000メートルでは2度ということになります。また、風が吹くと体感温度はさらに下がります。

 「そんな高い山には行かないから」という方も、天候の変化には要注意です。平地では快晴でも山は雨、ということはよくあります。それは、山という地形上の特性に関係があります。平地では普通の風でも山肌を吹き渡る風は上昇気流となり、山そのものが低気圧となるのです。また、標高が上がればそれだけ気温も下がりますから雲が発生しやすい条件が整ってしまうわけです。

【写真】白根御池小屋 無事に下山できてこその楽しい登山です。しっかりとしたレインウエア、防寒のための予備のウエアなど、事前の準備をしっかり整えて登山口に立ってくださいね。山の天気は変わりやすい。平地は初夏でも山は冬。山へ登るすべての皆さんが、山上での大きな感動を得られること、そして何よりも無事に下山されることを願っています。

(写真は北岳 白根御池小屋5月20日撮影 標高2230メートル)