ついこのあいだまで桜の花に奪われていた心も、今ではすっかり若葉の緑に移っています。日によっては半袖シャツで過ごせるようなときもあり「こんな日に山に行ったら気持ちがいいだろうなぁ」と思う方も多いのではないでしょうか。この南アルプス芦安山岳館にもゴールデンウイーク前から、登山に関する問い合わせが増えています。多くの方に山へ登って、その素晴らしさを知っていただきたいと思うと同時に、すべての方が無事に下山されますように…との思いも強まります。
山では、標高が100メートル上がるごとに気温が約0.5度~1度低下し、1000メートル上がると6度下がります。つまり標高0メートルで20度の時には3000メートルでは2度ということになります。また、風が吹くと体感温度はさらに下がります。
「そんな高い山には行かないから」という方も、天候の変化には要注意です。平地では快晴でも山は雨、ということはよくあります。それは、山という地形上の特性に関係があります。平地では普通の風でも山肌を吹き渡る風は上昇気流となり、山そのものが低気圧となるのです。また、標高が上がればそれだけ気温も下がりますから雲が発生しやすい条件が整ってしまうわけです。
無事に下山できてこその楽しい登山です。しっかりとしたレインウエア、防寒のための予備のウエアなど、事前の準備をしっかり整えて登山口に立ってくださいね。山の天気は変わりやすい。平地は初夏でも山は冬。山へ登るすべての皆さんが、山上での大きな感動を得られること、そして何よりも無事に下山されることを願っています。
(写真は北岳 白根御池小屋5月20日撮影 標高2230メートル)