【写真・左】芦安旧道入り口 【写真・右】甲斐ヶ根神社前社跡
今回は先日訪ねた芦安の夜叉神にある「甲斐ヶ根神社前社跡」の様子をご紹介します。
芦安に住んで7年目にして初めてその場所を知りました。きっかけは山岳館の館長に撮影を依頼されたことでした。
場所は山岳館から車で20分ほど登った所にある夜叉神峠・鳳凰三山の登山口の近くです。登山口には「夜叉神の森」という宿泊施設があり、その横から「甲斐ヶ根神社前社跡」への道があります。そこは芦安の旧道で、しばらく下りて行くと芦安のペンション付近に出ます。
旧道の入り口から5分くらい下りていくと現在は使われていないバンガローやトイレがあり、そのバンガローのすぐ後ろに「甲斐ヶ根神社前社跡」がありました。表示が何もないので最初は気づかず更に5分ほど下ってしまいました。「前社跡」ということで石積みしかありません。
「甲斐ヶ根神社前社跡」の歴史を山岳館の図書で調べてみると、明治時代に北岳の開山を求める署名が書かれた文書「甲斐ヶ根山開闢(かいびゃく)願書」を役所に提出したことから北岳に神社を設け、登山道を開くこととなりました。甲斐ヶ根山は今の北岳を指します。目的は「明治維新に際し皇政復古と敬神愛国の精神を高揚するため」ということです。2年で登山道は完成し、北岳山頂に甲斐ヶ根神社本宮、白根御池北方に中宮、夜叉神峠付近に前宮を建てました。
前宮があった所は現在廃社になってしまいましたが、現地に行くと「どんな神社がここにはあったんだろう?」と色々想像させてくれるような広場と石積みがあり、もっと山の歴史を知りたいと思いながら帰ってきました。
旧道の帰り道にはヤマトリカブトや、秋の野の花の一つであるアキノキリンソウが楽しめました。秋の気持ち良い空気の中、芦安の歴史に触れながらの森林散策にはまってしまいそうです。
[南アルプス芦安山岳館スタッフ]