国の特別天然記念物で、県のレッドデータブックにも掲載されているライチョウが、南アルプス鳳凰三山の薬師岳で登山者に目撃され、写真撮影された。2004年の調査では鳳凰三山では生息が確認できなかったため、絶滅の見方が広がっていた。登山者に目撃情報を募ってきた南アルプス芦安山岳館長の塩沢久仙さんは「周辺でライチョウがまだ生息している可能性が出てきた」と話している。
ライチョウは今年一月、名古屋市の高校教諭が薬師岳山頂付近で目撃し、写真に収めた。白い羽毛で覆われた三羽が雪原にとまっている様子が写っている。写真による情報を含め、これまでに南アルプス全体で約四十件、鳳凰三山で四件の目撃情報が寄せられた。
同山岳館などによると、○四年度の調査で甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳ではライチョウを確認できたが、鳳凰三山では確認できなかった。このため絶滅した可能性もあるとみられていた。
薬師岳で再び確認されたことで、塩沢さんは「いないとされていたところで目撃されたことは大きい。付近にはもっと生息している可能性もある」として、引き続き目撃情報の提供を呼び掛けていく。
南アルプスでのライチョウ研究の第一人者、信州大の中村浩志教授(鳥類生態学)は「かつては鳳凰三山でも繁殖が確認されたが、現在の繁殖は未解明。今回は繁殖期でない一月に撮影されたので、ほかの場所から一時的に飛来した可能性が高い」とみている。
ライチョウは本州中部の高山のハイマツ林帯に生息。近年は地球温暖化やシカの食害の影響などで生息数が減少しているとされ、県のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種に指定されている。
(写真)登山者によって薬師岳で目撃、撮影されたライチョウ(南アルプス芦安山岳館提供)
【山梨日日新聞社 5月24日掲載】
