芦安山岳館は、山梨日日新聞社とタイアップして「芦安山岳館メール」を発信しています。南アルプスの最新情報や観光情報、山梨日日新聞に掲載された山岳に関係する記事などをサイトに掲載し、さらに会員登録者にはダイジェスト版メールもお届けします。お楽しみください!

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プロフィール

 南アルプス芦安山岳館は、2003年3月21日に開館しました。山岳文化の発掘と研究・継承、自然保護や安全登山の普及、山を仲立ちとしたさまざまな交流の実現を目的としています。氷河時代から数万年を生き続けるキタダケソウやライチョウが住む3000メートルの高山、生活と結びついて文化や産業、技術を育ててきた里山。芦安地域は自然、文化ともに魅力に満ちた地域です。山岳館はその一端を知っていただく施設です。また、この施設は、県産材の利用促進を図ることを目的としたモデル的施設でもあります。多くの方に見学していただき、県産材の良さを知っていただきたいと思います。

お知らせ

 南アルプス市芦安山岳館メールは、2023年3月末をもって配信を終了しました。今後は、南アルプスNetやFacebookなどで、山岳情報や観光情報などを随時発信していきます。

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2014年6月

【山岳館便り】

広河原で南アルプス開山祭 エコパーク元年 夏到来

Photo_2 南アルプス市芦安芦倉の広河原で29日、開山祭(南アルプス市、南アルプス署主催)が開かれ、北岳など3千メートル級の山々が連なる南アルプスの夏山シーズンが幕開けした。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録されてから、初めて迎える夏山シーズンで、大勢の登山客が訪れた。

 小雨が降る中の野呂川広河原インフォメーションセンター前で開かれた開山祭には、関係者約200人が出席。中込博文市長が「南アルプスが登録されたエコパークは、自然との共生が理念。登山者には、人間が自然の中で生かされていることを感じてもらえるよう、地域として努力していきたい」などとあいさつした。

 登山者の安全を祈る「蔓払い」の儀式では、NPO法人芦安ファンクラブのメンバーらが山の案内役に扮し、組み上げた蔓をおので切り開いた。同市の芦安中の生徒が「北岳の歌」を合唱、登山者らに手打ちそばと市特産の桃などが振る舞われた。

 一方、南アルプス署は野呂川広河原インフォメーションセンター内に「広河原臨時警備派出所」を開設。8月下旬までの週末、署員2人が常勤する。

 初日は登山バスやタクシーを使って訪れた、国内外からの登山者でにぎわった。友人と訪れたカナダ人女性は「南アルプスがエコパークに登録されたことは知らなかったが、日本の中でも有名な山と聞いている。豊かな自然を満喫したい」と話していた。

(写真)組み上げた蔓をおので切り開く「蔓払い」=南アルプス市芦安芦倉  

【山梨日日新聞 6月29日掲載】

【山岳館便り】

南アの自然、歴史伝える 国立公園50周年で企画展 芦安山岳館 資料200点展示

Photo 南アルプス国立公園指定50周年を記念した企画展「南アルプスで、またあした」(南アルプス市主催、山梨日日新聞社・山梨放送など共催)が21日、同市芦安芦倉の南アルプス芦安山岳館で始まった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録された南アルプスの自然をはじめ、人と南アルプスとの関わりの歴史を約200点の資料で伝えている。

 自然と文化をテーマに、写真パネルや年表、動物の剥製などを展示。同館の職員が撮りためてきたキタダケソウなどの高山植物や地元の子どもたちの自然体験教室、登山道で見つかったごみの写真などが並ぶ。北岳の自然風景が楽しめる約20分間の映像も流している。

 長野県の博物館から借りてきた国の特別天然記念物のライチョウやニホンカモシカ、ツキノワグマなど5種類の剥製もある。

 21日はオープニングセレモニーが開かれ、約50人が南アルプスのエコパーク登録と国立公園指定50周年を祝った。塩沢久仙館長は「誰もが知る南アルプスの表側の歴史だけでなく、あまり知られてこなかった裏側の歴史までじっくり見てほしい」と話していた。

 企画展は来年5月31日まで。午前9時~午後5時。問い合わせは同館、電話055(288)2125。

(写真)南アルプス国立公園の指定50周年を記念した企画展=南アルプス芦安山岳館

【山梨日日新聞 6月22日掲載】

【山岳館便り】

南アルプス開山祭のご案内!!

 南アルプス開山祭は、南アルプス山脈の登山口である広河原で登山の安全祈願を行うイベントです。南アルプス先駆者の偉業への感謝の意と入山者の安全登山を祈念して、献花や「蔓はらい」のセレモニーが行われます。地元芦安地区の「夜叉神太鼓」の演奏や中学生の合唱もあります。セレモニー後には、地元のおばちゃん達の手打ちそばや南アルプス市特産の桃が無料でふるまわれます。山に登らなくても、北岳の雄姿を眺め、園地を散歩するだけで十分楽しめます!南アルプス市の再奥へ行ってみませんか?

日 時 平成26年6月28日(土)午前10時~
会 場 野呂川広河原インフォメーションセンター前
備 考 マイカーは入れません。市営芦安駐車場より乗り合いタクシーをご利用ください。市営駐車場発(9:10)-広河原着(10:00)。料金1100円(片道)。別途利用者協力金100円が必要です。

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【山岳館便り】

「南アルプス」エコパーク 生物と対話 未来へ一歩 元山小屋管理人 活動半世紀「ともに保全を」

Photo_4 山梨、長野、静岡3県にまたがる南アルプスが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域(エコパーク)に登録される。南アルプス芦安山岳館長の塩沢久仙さん(71)は、南アルプスの自然を見守り続けてきた一人。山小屋管理人などを務めた半世紀の間、希少な植物の盗掘やシカの食害などの課題は次々と浮かび上がった。南アルプスが新たなステージを迎えるに当たり、塩沢さんは「住民が自然とどう共生していくかを考える出発点に」と願う。

 塩沢さんは1965年、夜叉神峠小屋の管理人になり、85年からは南アルプスの玄関口にある広河原山荘の管理人を務めた。現在は南アルプス芦安山岳館長として、展示や講演会を通じ南アルプスの歴史や高山植物、景観などの魅力を伝えている。

 登山者を迎え入れながら、数々の「危機」に直面した。山野草ブームが起きた1970年代。希少な高山植物が数十株単位で盗掘された現場を目の当たりにした。柵の設置やパトロールといった活動がきっかけとなり、全国初の高山植物保護条例ができた。

 96年には大樺沢の水質調査をし、沢が大腸菌で汚染されていたことを確認。登山者のし尿が原因とみられ、北岳の大樺沢ルートなどへ山岳トイレの整備が進んだ。動物がもたらす難題も浮上した。約15年前の春、山荘を開けようと、広河原に足を踏み入れた時、シカを発見。標高2500メートル付近では無数に散乱したシナノキンバイなどの高山植物が目に入り、言葉を失った。持ち去られるのではなく、食い荒らされる被害。後にシカの食害と分かり、地元自治体は今も管理捕獲など効果的な対策を模索している。

 「登山者や地元住民が自然保護に動きだし、登山のマナーはだいぶ改善された。一方、シカの食害は深刻化していて、早急な対策が求められるが、人間がもたらす問題とは違って対話ができない難しさがある」  南アルプス市(旧櫛形町)に生まれ、近くにはいつも南アルプスの山並みがあった。その魅力を知ったのは中学時代。北岳に登頂し、高山植物などを見て自然の豊かさを実感した。山が直面する課題は変容しているが、山頂からの景色の美しさ、澄んだ空気は今も変わらない。

 「エコパーク登録は、南アルプスが世界的に認知され、価値が認められたということ。人と自然が共生し、多様な動植物が生息する環境をどう維持するか、多くの人が参加して考えていくときだ」。塩沢さんは、エコパーク登録が南アルプスの未来を考えるスタートになると信じる。

(写真)エコパーク登録について「南アルプスの素晴らしさを知ってもらえる機会になる」と話す南アルプス芦安山岳館の塩沢久仙館長=南アルプス市内

【山梨日日新聞 6月12日掲載】

【山岳館便り】

いのち萌ゆる季節

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 冬の間じっと我慢していたいのち達がいっせいに表に飛び出すこの季節。

 ハクセキレイ親子の厳しくもほほえましいいのちの瞬間をとらえました。親鳥は5分とたたないうちに、エサをくわえて戻ってきます。幼鳥は必死で口を開けて猛アピール。時々口からこぼれるのもまたご愛嬌。親鳥は何事もなかったように、またエサを探しに飛んでゆく…。こうして、一つのいのちが育まれていきます。

 いのちの力強さを目にすると、何だかこちらもパワーをもらえたような気がします。パワースポットは、私たちのすぐそばにあるのかもしれません。ちょっと立ち止まって、あたりを見渡してみてはいかがですか?