強い日差しが降り注ぐ夏山シーズンが終わり、南アルプス・北岳(3193メートル)では、麓より一足早く紅葉の時期を迎えている。赤や黄色に色づいた山肌に魅せられた登山者が足を運ぶ、秋の北岳を紹介する。
訪れた6、7の両日は曇りがちの天候だったが、最盛期の紅葉を楽しもうと、登山道はカメラを手にした登山者でにぎわった。ナナカマドやヤマモミジの赤色、ダケカンバやイタヤカエデの黄色といった鮮やかな色合いが目を楽しませてくれた。今年は夏場の気温が高く晴天に恵まれたことや、9月下旬から昼夜の寒暖の差が大きくなったことなどから、昨年と比べて葉の色づきが良くなった。 植生が多様な北岳では、秋になっても足元で愛らしい花が顔をのぞかせる。ミヤマアキノキリンソウや、本来なら夏季に見られる北岳の特産種ミヤマハナシノブもきれいな花を咲かせていた。
秋が深まる中、7日未明には山頂付近で初冠雪を観測。登山者は、雪化粧した北岳を収めようとカメラを構えた。冬に向けて装いを変えていく南アルプスの姿もまた美しい。
(写真上)北岳山荘付近の稜線(りょうせん)で赤く鮮やかに色づくナナカマド
(写真下)北岳バットレスの岩壁と紅葉を間近に見ながら進む登山者
【山梨日日新聞社 10月12日掲載】