山梨、長野、静岡三県の関係十市町村でつくる南アルプス世界自然遺産登録推進協議会は九日、登録へ向けて南アルプスの地形や地質、生物などの学術的価値を探る総合学術検討委員会を設置した。各県に既に立ち上がっている検討委の成果を集積。情報交換や共有を図って総合的価値を見いだし、学術的側面から推進運動を前進させる。
推進協事務局によると、世界自然遺産登録に向けてはキタダケソウなどの希少動植物や自然景観、地形・地質などの価値を証明することが必要だという。
三県にある各学術委は二〇〇七年度から地形・地質の調査研究などを進めてきた。総合学術検討委では各県の検討委の情報を取りまとめ、南アルプスを全体的にとらえる。
総合学術検討委は山梨大の花岡利幸名誉教授ら各県の検討委メンバー約三十人で構成。地形・地質、生態系・生物多様性、自然景観・共生の各専門部会を設けて年度内に二回ほど開催。学術的価値をまとめた「南アルプス学術総論(仮称)」を作成する。
九日に静岡市で開かれた推進協の総会には構成市町村長ら約四百人が参加。総合学術検討委の設置や本年度予算などを承認した。
【山梨日日新聞社 5月12日掲載】
