「日本百名山」の著書で知られる登山家の故深田久弥にゆかりのある韮崎市と石川県加賀市は深田の没後50年に合わせ、深田の功績の継承や地域活性化などに協力して取り組むとした共同宣言を出した。情報交換を通じて両市の交流を図るとしている。
山岳環境を保全
深田は1903年、加賀市生まれ。第一高等学校(現東京大教養学部)で文学と山に親しみ、卒業後は東京帝国大文学部哲学科に在籍しながら改造社に入社。59年に山岳雑誌に「日本百名山」の連載を始め、日本山岳会副会長も務めた。71年に韮崎・茅ケ岳を登山中に脳卒中で急逝した。
韮崎市観光協会によると、市内では加賀市の愛好家も参加して毎年4月第3日曜日に深田をしのぶ深田祭を開催。加賀市では「久弥祭」と題した同様の行事が開かれていて、深田を通じて両市の交流があったという。
今年が深田の没後50年と深田祭開催40周年の節目に当たることから、両市による共同宣言を採択。市観光協会によると、宣言では深田の功績の継承や山岳環境の保全などに努めるとし、それぞれがホームページで両市の観光情報を紹介し、地域活性化に取り組むとしている。
宣言は4月17日に韮崎市内で行われた記念事業で採択。18日には深田祭が開かれ、記念碑に献花したほか、約250人が茅ケ岳に記念登山した。
市観光協会の担当者は「共同宣言を契機に両市の交流を深めながら、深田久弥の功績を広めていきたい」と話している。
【山梨日日新聞 5月12日掲載】