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圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

お知らせ

2014年1月1日、ヴィンヤード便りのURLアドレスが変わります。ブックマーク(お気に入り)やリンクのURLアドレスの変更をお願い致します。

https://sannichi.lekumo.biz/vineyard/

2008年8月

“事件”

それは17日の畑作業時に起きました。以下は、先の記事で触れました“事件”の経緯です。

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はじまりは、1本の枯死したブドウ樹でした。

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その日の参加メンバーが怪訝な顔で、木の周りに集まりました。よく見ると、幹の根元に小さな穴を発見しました。木を引き抜いての原因究明が始まりました。

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幹を切り刻んだところ、害虫被害が明らかになりました。それも警戒していたはずのコウモリガの幼虫でした。一様に大きなショックを受けました。すかさず根元の一斉点検です。

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残念なことに、さらに他の1本に被害の兆候が見られました。食入口が糞(ふん)で覆われるのが特徴のようで、この木には応急処置を施しました。

マンズワインの中山さんからは後日、「被害が少ないときは穴に針金を差し込んで防除する」などのアドバイスがありました。

木を枯らしてしまうほどの被害ですから気になって、県内ワイナリーの栽培担当者らに話を聞いてみたところ、幼木は狙われやすいとのことでした。聞いた範囲では、どこでも被害の経験があるようです。「コウモリガは6月ごろ、空爆のように卵をまき散らす」というので、やはり対策としては幼虫が伝わりやすい根元周辺の草をこまめに取り除くことが大切だということでした。

それにしても、害虫の怖さを思い知らされた出来事でした。

2008年08月28日|個別ページ

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キャノピー・マネージメント

17日に全体作業がありました。

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新梢の表皮が褐色に変化して木質化、いわゆる「登熟」が進んでいます。

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この日は、ブドウの房周りの葉を取り除く「除葉」を集中的に行いました。キャノピー(ブドウ樹の地上部)の枝葉を操作して、日照量の調整や風通し、病気の危険性などをコントロールします。キャノピー・マネージメントはブドウの品質などに大きく影響します。

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そして、毎度毎度の草刈り。

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結構、手入れが行き届いたブドウ畑に見えませんか。農作業の充実感を感じるひとときです。

この日は“事件”もありました。それはまたあらためて報告したいと思います。

2008年08月22日|個別ページ

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7月の天候

気象予報士でヴィニュロンズクラブメンバーの保坂悟さんの協力で、先月の天候をまとめました(写真は8月3日)。

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7月は上空の寒気の影響で局地的な雷雨がありましたが、まとまった雨が降る日は少なく、晴れや薄曇りの日が多くなりました。6月2日に梅雨入りした県内は7月19日に平年より1日早く梅雨明けしました。期間中の降水量は甲府で249.0ミリと平年の214.4ミリより多かったのですが、梅雨前線の活動が後半は弱かったため、7月の降水量は各地で平年を下回り、甲府も平年の約半分程度でした。気温は中下旬にかけてかなり高くなり、7月は総じて高温、少雨の1カ月となりました。(以下はブドウ畑に近い甲府の観測データを基にまとめてあります)

気 温
平均気温は上旬で24.1度と平年並みでしたが、中旬になると27.2度と平年を2.2度も上回る高さとなり、下旬も27.8度と平年を1.6度上回りました。その結果、月平均でも平年を1.3度上回る26.4度となり、通常の7月よりかなり気温が高い1カ月となりました。日最高気温は月平均で32.5度と平年より2.1度とかなり高く、日最低気温の月平均も22.6度と平年に比べて1.2度高く、日中も、夜間も気温は高かったと言えます。26日には37.8度まで上がり、猛暑日は24日から27日の4日連続を含め6日を数えました。夜間の気温が25度を下回らない熱帯夜も6日と例年になく多くなりました。

降水量
雨となった日は18日と比較的多かったのですが、まとまった雨とはならず、5月、6月とは一転して降水量は少なくなりました。期間を通じての降水量は平年の55%の73.0ミリにとどまりました。上旬は44.0ミリと平年の83%はあったのですが、中旬は平年の33%の13.5ミリ、下旬は39%の15.5ミリと極端に少雨となりました。雷雨は3日ありました。

日照時間
月合計は172.4時間で平年比120%と、日照にはかなり恵まれました。特に中旬は69.8時間(平年比158%)、下旬も89.6時間(平年比130%)という長さで、6月とは一転してのたっぷりとした日照時間となりました。その分、日中の気温が平年より高くなりました。上旬は47.7時間で平年並みでした。
(参考:甲府地方気象台、7月の山梨県の気象・地震概況)

2008年08月21日|個別ページ

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納涼会

15日、甲府市下石田のカフェ・ラ・トゥーシェで、ヴィニュロンズクラブの納涼会が開かれました。

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栽培している品種がメルローですから、当然、ワインもメルローです。真夏日だろうがお構いなく、ひたすら赤ワイン、メルローを味わいます。

ワイン愛好家で弁護士の山本博さんも近著で「山梨県の人がワインを知らなすぎる」と指摘していましたが、ブドウ栽培者が造りたいワインをイメージすることは大切なことだと思います。

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フランスワイン中心の前回と異なり、今回は結果的に国産、新世界(ニューワールド)のワインがそろいました。10人足らずの参加者で、計4本を楽しみました。

以下、参加者の感想を踏まえコメントをまとめました。

▽キャネー万力メルロ2007(金井醸造場)=山梨
メルローというよりも赤い果実のニュアンスを強く感じました。デキャンタをしていただきましたが、時間の経過とともに印象が変わります。

▽NACメルロー樽熟2006(井筒ワイン)=長野
今年の国産ワインコンクール金賞ワイン。バランスがとれ、エレガントな味わい。塩尻産メルローの品質の高さを見せつけられました。

▽グレイスメルロ2006(中央葡萄酒)=山梨
今年のジャパンワインチャレンジ銀賞・最優秀日本ワイン賞。以前も書きましたが、カベルネ・ソーヴィニヨンのニュアンスも感じます。果実味やミネラルなど複雑な味わいが印象的でした。

▽サンダルフォード・メルロー2002(オーストラリア)
西オーストラリア州。パワフルでありながら、繊細さを兼ね備えているように感じました。フルーツ感たっぷりの味わいは女性に人気。アルコール分は14%と高め。牛フィレの肉料理とよく合いました。

2008年08月20日|個別ページ

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ボルドー散布

樹勢が強いのか、新梢がぐんぐん伸びます。もちろん、この後、摘心しました。

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さて、9日にボルドー液を散布しました。

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ボルドー液は硫酸銅と石灰の溶液で、べと病などの対策として知られています。有機栽培農法などでも使用が認められています。当初の防除計画を2週間ほど前倒ししているため、この時期の散布となりました。

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葉には白っぽい散布した跡が残ります。県内のブドウ畑では、よく見かける光景です。

2008年08月12日|個別ページ

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ベレーゾン突入

小諸視察から一夜明けた3日早朝、双葉で作業がありました。

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草刈り機で下草を刈り込み、葉焼けなどが起こった根元の葉を取り除きました。
また、伸びすぎた新梢の先端を切りました。いわゆる摘心です。枝の充実を図るため、伸びを一時的に抑えます。これをしないと、翌年の収穫に影響するそうです。

畑のブドウも本格的にベレーゾン(成熟期)に入ったようです。

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3日時点のブドウの表情です。果皮がどんどん色づいてきました。

2008年08月08日|個別ページ

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小諸視察その2

東山にあるカベルネの畑の次に、近くにあるメルローの畑を視察しました。

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栽培面積は約75アール。今年植えたばかりというので、双葉の畑とはいわば〝同級生〟。双葉には2メートルを超える木も育っているのと比べると、ずいぶんと小ぶりで、畑の印象が違うのが分かります。メンバーからは「本来はこれが普通なのかね」との声も漏れました。

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気になったのは、畑の石が小さく、河原で見かけるようなものだったことです。近くに川などはありません。中山さんは「フランスのボルドーのような土壌でしょ」とニッコリ。

その後、小諸ワイナリーに移り、武井さんの案内で醸造工程を見学しました。

トピックスとして、ワイナリー内の日本庭園「万酔園(ばんすいえん)」を紹介します。

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広さは約3000坪。信州をイメージした日本庭園だそうです。

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園内にあるワイン道祖神。「夫婦でワインを」という思いが込められているようです。

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地下セラーも特別に見学させていただきました。趣のあるセラー入り口です。

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年代物のワインが静かに眠っています。

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ブドウのシャンデリアが輝く、VIPルームも備えています。

2008年08月07日|個別ページ

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小諸視察その1

8月2日、ヴィニュロンズクラブのメンバーが長野・マンズワイン小諸ワイナリーを視察しました。メーンは、同社の最高峰ワイン「ソラリス 信州東山カベルネ・ソーヴィニヨン」を産する「東山畑」(長野県上田市塩田平)を訪れ、現場で栽培情報を吸収することでした。

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マンズワインの中山正男さん、武井千周さんに案内していただきました。東山地区には7カ所(約4ヘクタール)の畑があるそうです。中山さんは「東山は雨が少なく乾燥していて、カベルネの栽培に向いている」と強調していました。

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訪れたカベルネの畑は標高約550メートル。南向き斜面。約50アールの栽培面積で、短梢せん定の「ダブル・コルドン式」(写真左)と「コルドン式」(同右)でブドウを育てていました。下草を生やしたままの草生栽培です。

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双葉のメルロー畑の将来的なイメージは、ダブルではない「コルドン式」とのことです。幹からアーム(コルドン)を左右に伸ばし、写真右のようにコルドンから芽を2個ずつ持つ短梢を残す方式です。ちなみに同じ垣根栽培には、長梢せん定の「ギュヨー式」というバリエーションもあります。

武井さんから「樹勢を抑えるには短梢せん定がいい。特にメルローは短梢が向いている」とアドバイスがありました。

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余談ですが、「新梢の先端がメルローに比べて赤くなるのがカベルネの特徴」(中山さん)だそうです。

2008年08月06日|個別ページ

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ほんのりと

7月31日、駆け足で畑をのぞいてみました。

20080801_1_2まだまだ全体的に青い果粒が多いのですが、ほんのりと色づき始めた房を見つけました。
ブドウの一大転換期である「ベレーゾン」という生育ステージに入ると、果粒が徐々にやわらかくなり、赤品種は果皮が色づき始めて、ブドウは成熟へと向かいます。

これまでブドウの品質に大きな影響を与えるのはベレーゾン以降とされてきましたが、最近の研究では、水分ストレス(水不足の状態)はベレーゾン以前が有効で、特に着色状況に影響を与えるという考え方が出てきています。酒類総合研究所(広島)の後藤奈美さんが、この研究を進めています。

今年はこの2週間ほど、体感的には降雨量が少なかったように思います。ここの畑はまだ仕込みができませんが、天候的には、山梨のワイン用ブドウはここまで比較的いい方向で来ているのではないでしょうか。

2008年08月01日|個別ページ

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