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圃場データ

標高
350メートル
栽培
ヴィニュロンズクラブ
栽培品種 メルロー(約900本)
栽培面積
17アール
台木
5BB、3309、101-14
植樹
2008年3月22日
栽培品種 シャルドネ(約900本)
栽培面積
20アール
台木
101-14
クローン
95番、96番、277番
植樹
2012年6月16日
栽培品種  シャルドネ(約490本)
栽培面積
17アール
台木
101-14
植樹
2013年3月31日

ブログ担当 プロフィール

古畑昌利
山日YBSグループ勤務。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMA。米国ワインエデュケーター協会認定ワインスペシャリスト(CSW)

お知らせ

2014年1月1日、ヴィンヤード便りのURLアドレスが変わります。ブックマーク(お気に入り)やリンクのURLアドレスの変更をお願い致します。

https://sannichi.lekumo.biz/vineyard/

2008年7月

国産ワインの課題

甲府市内のホテルで行われていた今年の国産ワインコンクールの審査(7月23-25日)が終わり、審査員による記者会見が行われました。このうち国産ワインの課題について、フランス・ボルドー大醸造学部のジル・ド・ルベル教授と、ワインジャーナリストのデニス・ガスティンさんのコメントの一部を紹介します。

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ルベル教授

  • 日本は品種の選択をする時期に入っている。いいワインを造るための実験期間が長すぎるように思う。どの品種が日本の風土に合うかを見極めて、栽培をしていくべきだ。もちろん風土に合わないために、あきらめざるを得ない品種も出てくるだろう。
  • 単一品種にこだわるのではなく、ブレンドを考えるのも成功への近道。それは品種の特性ではなく、風土の特性の表現につながっていく。テロワール(土地固有の個性)に着目し、いい土地を見極めて選択していくことも大事。

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ガスティンさん

  • 私の住むシドニーには300のすしバー、600の日本食レストランがある。あるレストランには3種類の日本のビール、6種類の日本酒、3種類の焼酎が置いてあるが、日本のワインは1本もない。そこには大きな市場性があると思う。日本のワインをレストランで知人に紹介すると、反応がいい。「なぜレストランに置いていないのか」と。
  • インドやタイでもワインが造られているが、あるタイのワイナリーのワインは、ロンドンの600のレストランに入っている。それもすぐに受け入れられたのでなく、価格の競争力、品質、ワインのスタイルの提案があってこそ。海外での販売を実現するには、プロモーションの努力をしていかなければいけない。

2008年07月29日|個別ページ

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カーボン・マイレージ

米国ワインエデュケーター協会(SWE)日本支部長の児島速人さんによる「地球温暖化とワイン」をテーマにしたセミナーがこのほど、都内で開かれました。

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今年2月にスペイン・バルセロナで開かれた第2回「地球温暖化とワイン」カンファレンスの内容紹介がメーン。セミナーの中で提唱していました「カーボン・マイレージ」という考え方に興味を持ちました。

ワインはその醸造メカニズムを見ても明らかなように、アルコール発酵は、糖分が酵母の働きでエチルアルコールと炭酸ガス(CO2)に変化する仕組みです。1%のアルコールを醸造するには約1.8%の糖分が必要。ブリックス(糖度)22度(潜在アルコール度数12.2%)の果汁1リットルを発酵させると、107グラムのCO2が発生する計算になるそうです。

さらにワイン輸送時におけるCO2の排出量をみると、船便、船便リーファー(保冷)使用、鉄道輸送(ディーゼル)、トラック輸送、航空便輸送の順に大きくなっていきます。そのほか、樽(たる)製造時のCO2排出を考えると樽不使用、高アルコールよりも低アルコール、コルクも石油化学製品を使わない天然素材など、CO2を中心に考えると飲むべきワインが限られていきます。

面白いのは、これらを踏まえた児島さんによるワイン消費者(東京在住者)への提言。

  • フランスのヌーボー(新酒)=特に空輸もの=ではなく、国産品を飲もう!
  • 国産ワインもカーボン・マイレージでみると、東京に近いのは山梨、長野、山形、北海道の順。東京で飲むには山梨県産ワインがもっともいい!

さらにワイナリーへの提言として、ソーラーシステムの完備や温暖化対策のブランド化などをラベル表示でアピールする仕組みづくりの必要性も指摘していました。

ただ、ワインはあくまで嗜好品。最後は「温暖化対策を意識しつつも、おいしいワインを楽しんでください」とまとめていました。なるほど!!

温暖化問題を考えるスパークリングワインの試飲もありました。

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このうちの1つは、英国産。温暖化の影響で、発泡ワインで知られるフランス・シャンパーニュ地方は最適地が英国南部に移動するとも言われています。英国産の銘柄は「リッジビュー メレ キャヴェンディッシュ 2003」(ピノ・ノワール35%、ピノムニエ27%、シャルドネ38%。瓶内2次発酵)。ワイナリーはサセックス州南部。1994年に創立し、99年産(ヴィンテージ)から生産。ちなみにテイスティングの結果は、4種類のうちシャンパン(モエ)を当てた以外は全滅でした(苦笑)。

2008年07月24日|個別ページ

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摘心

19日に全体作業がありました。連日続く猛暑を回避するため、朝の集合になりました。

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新梢の先端部分を摘心したほか、草刈りを行いました。摘心はせん定ばさみを使って一本一本手作業。景観的には、畑のブドウの木の高さが整いました。

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ずいぶんとブドウ畑らしくなってきました。
梅雨の最盛期に有志が早朝畑に繰り出して行ったという防除スプレーが効き、全体的にすくすくと育っていました。

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作業の合間の休憩、水分補給のひとときです。三連休初日にもかかわらず、多くのメンバーが畑で汗を流しました。

2008年07月22日|個別ページ

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6月の天候

気象予報士でヴィニュロンズクラブメンバーの保坂悟さんの協力で、先月の天候をまとめました(写真は7月5日)。


県内は6月2日に梅雨入りしました。平年より6日、昨年より20日も早い「雨の季節」の到来となりました。梅雨入り後は「梅雨空」となる日が多く、6月は、気温は低めで雨の日が多く、日照時間も少ないという梅雨ならではの天候となりました。22日に日降水量が50ミリを超す大雨となったものの、総じてシトシト雨が多く、今年の梅雨は前半に限れば「陰性型」といえそうです。日照時間が少なく、低温で、雨の日が多いという環境は、農作物にとっては好ましくない1カ月だったいえます。(以下はブドウ畑に近い甲府の観測データを基にまとめてあります)

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平均気温
上旬は19.6度と平年を1.3度も下回る低さとなり、梅雨寒の日が続きました。中旬になって高気圧に覆われ、晴れや薄曇りの日が多くなり、21.9度(平年比0.3度高)とほぼ平年並みに回復しましたが、下旬は22.0度(平年比0.3度低)と再び平年を下回る状況となりました。その結果、月平均では21.1度と平年を0.5度下回りました。日最高気温は30度を超す真夏日が2日ありましたが、35度を超す猛暑日はありませんでした。夏日(最高気温25度以上30度未満)は22日を数えました。

降水量
先月に続いて、期間を通じて平年を上回る降水量となり、特に下旬は106ミリ、平年比179%とかなり多く雨が降りました。22日は53.0ミリのまとまった雨量を記録しました。月間では191.5ミリ、平年比146%と、平年の1.5倍の雨となりました。雨をまったく記録しなかった日は10日しかなく、連日ぐずついた空模様が続きました。

日照時間
月合計は129.4時間で平年の91%という短さとなりました。特に上旬は38.2時間(平年比65%)、下旬も28.3時間(平年比82%)という短さで、日照不足が心配される状況でした。梅雨の中休みとなった中旬のみ62.9時間(同129%)と平年を上回りました。日照時間が10時間を超えた日はわずか5日しかなく、昼間が「晴」のみで雲マークが付かない日は2日を数えるだけでした。
(参考:甲府地方気象台、6月の山梨県の気象・地震概況)

2008年07月17日|個別ページ

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ブドウの生理

若手醸造家・農家研究会(武井千周代表)のメンバーを対象にした、米国最大のワイン研究機関であるカリフォルニア大デービス校(UCデービス)のマーク・マシューズ教授(植物生理学)による講演を聴講しました。テーマは、ブドウ栽培についてです。

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以下、印象に残った部分について備忘録的にメモを残します。

  • カビが原因の病気(うどん粉病など)を初期に防ぐには、カビの生理を知ることが大切。胞子の発芽には水が必要で、感染するにも水が必要。胞子形成するために必要な相対湿度は95%以上。カビの活動する温度は10-29度で、最適なのは18-24度。
  • UCデービスでは、天候のファクターを指数にして農薬の頻度を測る方法を開発している。つぼみがほころんだ後、3日連続で21-29度が6時間続いたら観測を始め、21-29度が6時間続いたら、それぞれの日に20点加算。6時間以下、あるいは35度以上ならば10点引く。指数は0~100までの間に入り、0~30ならばスプレーの間隔を長くとり、40~50は普通にスプレー、60以上は頻繁にスプレーする。
  • 葉面積は、ブドウ1グラム当たり10-12平方センチメートルが基本。
  • ブドウの収量を多くすると、ベレーゾン後、糖度が上がるまでにより日数がかかる。つまり、成熟に時間がかかる。
  • 実の表面温度は光の作用、中でも直射日光によって上昇する。房への微気象、温度、風はブドウの成熟に大きな影響を与える。直射日光は気温プラス12度まで達し、気温が30度ならばブドウは42度にもなる。40度ともなるとブドウがやけどしてしまう。除葉しすぎると、日焼けをしやすい。太陽光の10%あればブドウはよく熟す。
  • ワインの品質向上プログラムとして、レイトハーベスト、暗きょ排水など乾燥状態の促進、着色を増すためにABA(植物ホルモンのアブシジン酸)などの使用を試す-など。

結びとして、甲州種ワインでは、スパークリングワイン生産の推奨と、海外に売るマーケティング戦略が非常に大事だと強調していました。

2008年07月15日|個別ページ

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鳥居平と菱山

甲州市勝沼町のワイナリー、中央葡萄酒(三沢茂計社長)が甲州種ブドウをテーマに開いたセミナーに参加しました。甲州種ブドウの名産地として知られる同町の鳥居平地区と菱山地区で、同社の契約栽培畑を見学しました。いずれの地区も日照量や昼夜の寒暖差、水はけの良さなどに恵まれています。

まずは菱山地区です。勝沼町を見下ろす高台にあり、斜面は北東向き。三沢社長によると、同地区全体のブドウの栽培面積は約150ヘクタールで、このうち甲州種は約3ヘクタールということです。

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写真は菱山地区での甲州種の契約栽培畑で、標高は約500メートル。同社は2004年、フランス・ボルドー大のデュブルデュー教授の指導による甲州種ワインの醸造を始めましたが、「ここから採れたブドウを使おう」と教授の目に止まった畑です。このワインは世界的ワイン評論家、ロバート・パーカーJr.氏のポイント(パーカーポイント)を取得することになりました。

そして、古くから名産地として評価の高い鳥居平地区。標高の高い山路地帯にあり、斜面は西南西向き。

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おなじみの「鳥居焼」と甲州種ブドウの畑(契約栽培畑)です。標高は約440メートル。フルーツラインから見下ろすと、ブドウ畑の広がりがよく分かります。鳥居平地区での甲州種ブドウの栽培面積は1.7ヘクタール。中央葡萄酒の試算では、この地のブドウの収穫高のうち昨年は約7割を同社が買い入れたとのことです。

同社は02年から畑の地区ごとの仕込みを始めました。ヨーロッパの銘醸地がそうであるように、ワインの醍醐味は「産地の表現」にありますが、三沢社長は「菱山、鳥居平の景色をワインに反映させていかなければいけない。産地の特徴をもっと明確に出していきたい」と強調していました。

せっかくですので、メルローの話も記録しておきます。セミナーでは、自社管理農園のメルローを使った「グレイス メルロ2006」(限定生産)をテイスティングする機会を得ました。

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カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドで、ブドウは北杜市明野町産と勝沼町産を使っています。最初はインク(カベルネの中心的な香り)のような印象もありましたが、やがて黒系の果実や土っぽい香りなどに変わっていき、口中ではほどよいタンニンを感じました。

2008年07月14日|個別ページ

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ブドウの種

ブドウは、果汁、種子、茎、果皮、果皮の表面成分の5つの要素から構成されます。

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先日、マンズワインの中山さんが畑で、まだ青くて小さな果粒を手にとって半分に切りました。中には2つの種子があることを確認できました。

中山さんは「ブドウは種が2つあると実ができます。この種をつくり、子孫繁栄するために木は頑張っているのです。この種はまだ発芽する力がないので、皮は葉や茎と同じ緑色。目立たないため、鳥も気が付きません。でも種が発芽力を備えると、果皮が色を付け始め、鳥がブドウを食べるようになります」と話しました。

種子には苦味成分が含まれ、ブドウの色づき期を「ベレーゾン」と言いますが、これはワインを造る人間側からの視点のように感じました。その背景にあるブドウをよく知ることがワイン造りには大事だと、中山さんは言いたかったのではないかと思いました。

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さて、今年、畑ではいくつかの木が房を付けました。
中山さんは「房の大きさは通常の5分の1程度。木の養分がとられると言っても、身分相応の大きさですから、このまま付けておいて大丈夫でしょう」との見解。ということは、数こそ少ないですが、秋には一応のブドウが採れる見通しです。

中山さんから「房の周りの副梢は除去して、風通しを良くしてあげることが大切です」とのアドバイスがありました。

果粒の肥大とともに、期待も膨らみます!

2008年07月11日|個別ページ

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病害虫を学ぶ

9日朝、マンズワインの中山さんに栽培指導をしていただきました。
雨上がりの双葉農場は靴にべったりと土が張り付き、粘土質土壌をあらためて実感です。

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この時期、やはり気になるのは病害虫の発生。中山さんが隅々まで目を光らせました。

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写真左は、マメコガネによって食い荒らされたブドウの葉。「この時期は交尾しながら葉を食べていますよ」と中山さん。写真右は、先にも登場したウスミドリメクラガメ。葉に点々と穴があいています。

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このところの雨の影響で、べと病はその疑いを含めて数カ所で確認されました。写真は、同じ葉の表と裏。葉裏からは白い斑点が観察できます。

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1カ所の木からは、葉に「黒とう病」の症状を発見。やはり多雨が発病を助長すると言われ、中山さんは「ヨーロッパ系ブドウはやられやすいんです」。
同じ木の果粒にもその特徴である黒褐色円形の斑点が見られました。ただ、この粒には開花時に残った「花かす」が皮に張り付いている部分もあるようです。「花かすは開花時に木を揺すって落としてしまうとよいでしょう」とアドバイスがありました。

病害虫は対策として防除のさらなる徹底を確認しました。

2008年07月10日|個別ページ

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植物は正直?

畑を回ってみて気が付くのは、北側の木が目立って成長著しいことです。

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撮影は、7月5日。同じ時期に苗木を植えましたが、片方は2メートル近く、もう片方は50センチ程度です。木の特性の違いもあるかもしれませんが、北側はかつて野菜畑だった場所とのことで、まだ肥料が効いているのかもしれません。草むらだった場所の方がゆっくり育っていることを考えると、植物は正直と言えそうです。

生食用と違い、醸造用ブドウの木は成長が良すぎるのも考え物。徒長すると管理が大変ですし、マンズワイン・武井さんは「(配合肥料に含まれている)窒素が多いと着色に好ましくない」と指摘していました。着色は赤ワインにとって、重要な要素です。

さて、7月5日は全体作業の日でした。

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引き続き、誘引と草刈りに汗を流しました。気温が高くなるにつれ、体力消耗も早く、これからは暑さとも戦わなければなりません。

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台木から芽が出ていたので、取り除きました。
台木は2種類使っていますが、木の場所からリパリア種とベルランディエリ種(いずれもアメリカ系)の交配種「5BB」の葉と茎と考えられます。穂木であるメルローはヴィニフェラ種(ヨーロッパ系)。まったく違う雰囲気があります。

2008年07月09日|個別ページ

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雨よけあれこれ

サントリー登美の丘ワイナリー(甲斐市)のブドウ園を6月半ばに見学する機会がありました。

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見晴台(標高600メートル)から撮影しました。もしかしたら、双葉農場も写っているかもしれません。

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登美の丘での雨よけ対策を紹介したいと思います。ビニールを2.3メートルの高さに張ってトンネルをつくっているのが特徴です。葉や房に雨がかからないようにして、雨が原因で感染、伝播する病気に効果があります。

栽培技師長の渡辺直樹さんによると、この高さのメリットは(1)摘心などの機械化作業に適している(2)木の成長点(最上部)の温度が上がらず、ビニール下部の葉が焼けない―とのことです。ただ「トンネルが高いため、横殴りの雨にはどうしても弱い傾向がある」とも。

2005年から始め、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティヴェルドの赤ワイン用ブドウ3品種で取り組んでいるとの説明でした。

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この畑は下草を生やしたままの草生栽培。土から垣根の第1ワイヤーまでが通常よりも高い1メートルあります。渡辺さんは「作業の効率性と風通しの良さを確保している」と話していました。

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フランスの国家資格「エノログ(ワイン醸造士)」を持つ渡辺さんの解説で、サントリーが長野で契約栽培しているメルローをテイスティングする機会もありました。面白かったのが、桔梗ケ原地区と松本今井地区の単一畑のメルローの比較。前者がスパイシー、後者は黒い果実の香りと、同じメルローでも地域で違いがあるのが分かります。

2008年07月03日|個別ページ

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