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プロフィール

 山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町の4町2村が、2003(平成15)年4月1日に合併して南アルプス市となりました。市の名前の由来となった南アルプスは、日本第2位の高峰である北岳をはじめ、間ノ岳、農鳥岳、仙丈ケ岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳など3000メートル級の山々が連ります。そのふもとをながれる御勅使川、滝沢川、坪川の3つの水系沿いに市街地が広がっています。サクランボ、桃、スモモ、ぶどう、なし、柿、キウイフルーツ、リンゴといった果樹栽培など、これまでこの地に根づいてきた豊かな風土は、そのまま南アルプス市を印象づけるもうひとつの顔となっています。

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2020年2月

【季節の便り】

市内では梅の花が咲き始めました

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 市内を歩くと、あちらこちらで春を感じる季節になり、日本気象協会は、甲府の桜の開花予想を3月18日と発表しました。市内に点在する梅畑では、白い花がそろそろ満開を迎えます。

 

2月13日、(株)コーセーの皆さまが来庁されました

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 清らかで豊富な水と美しい恵まれた自然に囲まれた環境にある南アルプス市(八田地区)へ生産拠点を建設することが、昨年4月に決定されました。
 この日、(株)コーセーの皆さまが、森林保全に向けた協働の取り組みや工場建設の進捗状況の報告のため来庁されました。市では、この工場の建設、操業によって、新たな雇用の創出や地域への経済波及効果、さらには、官民が協働する自然との共生活動など、南アルプス市の明るい未来に向け、大きな原動力になるものと期待を寄せております。

<お問い合せ>
南アルプス市観光商工課 TEL 055-282-629

[南アルプス市役所 秘書課]
「広報 南アルプス」はこちらから

【季節の便り】

安藤家住宅のひなまつり開催中!

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 国重要文化財の旧家にて、江戸から昭和までの雛人形約160体を展示しています。主に明治期に製作され、人々に親しまれた山梨独自の雛人形「横沢びな」も登場。安藤家住宅ならではの雰囲気を、ぜひお楽しみください。
 
開催期間]4月6日(月)まで ※火曜休館
時 間]9時~16時30分(最終入館16時)
場 所]安藤家住宅(南アルプス市西南湖4302)
入館料]大人300円、小中高生100円

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お問い合せ
南アルプス市文化財課 TEL:055-282-7269
または 安藤家住宅 TEL:055-284-4448

 

十日市祭典が開催されました

 2月10、11日の両日、今年も甲府盆地に春を呼ぶ「十日市祭典」が開催され、縁起物のだるまや木工製品、飲食店の露店が並び多くの人出でに賑わいました。
 なかでも甲州だるまは、400年以上の伝統があり、彫りが深く、鼻が高いのが特徴で、武田信玄をモチーフにしたという説もあります。

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[南アルプス市役所 秘書課]
「広報 南アルプス」はこちらから

【連載 今、南アルプスが面白い】

春を呼ぶお観音さん
~八田山長谷寺護摩焚きの炎と香りと音の風景~

 南アルプス市榎原に立地する古刹八田山長谷寺。3月18日の午後、春を感じさせるやわらかな日差しが八田山長谷寺の本堂に差し込んでいます。本尊を祀る須弥壇前の護摩壇では護摩が焚かれ、爆ぜた音とともに炎は天井へゆらめき、そこから立ちこめる白い煙は本堂内に集まる人々を包み込んでいます。

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【写真】護摩焚き

 
八田山長谷寺と十一面観音立像
 
 八田山長谷寺は寺伝によれば天平年間(729~794)に創建され、大和国(現在の奈良県)長谷寺を模し豊山長谷寺と号し、その後周囲が八田庄と呼ばれていたことから八田山へ改名されたと言われます。平安時代後期11世紀後半の造立と考えられている一木造りの十一面観音菩薩立像を本尊としています。

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【写真】八田山長谷寺観本堂(国重要文化財)


 大和国長谷寺の本尊は『三宝絵詞』(平安中期)や『長谷寺縁起文』(平安末~鎌倉時代)に記されているように、近江国(現在の滋賀県)高嶋郡の霊木から造られたと伝えられています。八田山長谷寺の十一面観音立像も一木から彫り出され、大和国と同じ岩座の上に立つことから霊木から彫り出された立木仏信仰があったことが推察されています。

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【写真】 十一面観音菩薩立像(県指定文化財)


大般若経の転読の歴史
 
 長谷寺で最も盛大に行われる祭りが3月18日の「お観音さん」です。ここで近世の史料をひもといてみましょう。天保13年(1842)寅年7月26日の『長谷寺般若転読并御修復ニ付取替議定書』と1848 嘉永元年(1848)申年10月『長谷寺観音開扉供養代官所への願い』には、十一面観音立像が33年に1度しかご開帳されない秘仏であったことが書かれています。現在もその信仰は続けられ、本堂の解体修理が完成した昭和25年(1950)、次が平成3年のそれぞれ3月18日にご開帳されました。
 
また、前述した『長谷寺般若転読并御修復ニ付取替議定書』には、 貞享2年(1685)より本堂が大破し一時中断を余儀なくされる以前の天保12年(1841)まで毎年2月18日19日大般若経の転読を毎年行ってきたと記録されています。転読とは600巻に及ぶ膨大な大般若経を分担し略して読み、五穀豊穣や所願成就などを祈る法要です。それを裏付けるように、大般若経100巻をセットにして納められた経箱の裏蓋の一つには「甲州西郡筋榎原村 八田山長谷寺 茲貞享貳 乙丑年」の文言が記されています。大般若経の転読は現在では新暦3月18日に改められ「お観音さん」と呼ばれて近隣の住民で賑わっています。

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【写真】経本を納めた経箱

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【写真】経本を納めた経箱の蓋裏

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【写真】大般若経

 
お観音さんでの大般若経の転読

 かつて2月18日に行われていたお観音さんは転読とともに馬の健康を祈願する初午の祭りとしても有名でした(八田長谷寺初午祭りの記録)。馬が飼われなくなった現代では、昭和25年以降始められた稚児行列から始まります。その年に小学校に入学する子どもたちが榎原集落センターから長谷寺まで、法螺貝の音色ともに修験者の姿をした僧侶に導かれ、長谷寺へ向かいます。

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【写真】稚児行列


 本堂では導師を務める長谷寺住職が中央に、県内真言宗寺院6名の住職が3名ずつ東西に分かれそれぞれの背後には子どもたちと保護者が座ります。
 
 護摩が爆ぜる音と香木の香が漂うひとときの静寂。導師が散杖(さんじょう)と呼ばれる細い棒で清められた水が入っている金銅製の器の内側を叩く音を合図に、7人の住職の読経が始まります。読経に合わせ、太鼓の重厚な音が本堂内にリズムを刻みます。真言を唱えた後、心願成就や心身健全、交通安全などの願文が捧げられます。その後法螺貝の一拍の音が転読の始まりを告げます。

【動画】長谷寺護摩焚き 転読(16.1 MB)

 

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【写真】護摩焚きの法具

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 導師が経本第1巻を手の平へ叩くように収めると乾いた音が響き、その瞬間「大般若波羅蜜多経 第一巻 唐三蔵法師玄奘 奉詔訳(ぶしょうやく)※」と唱えると、左右3名ずつ座した住職から一斉に転読が始まります。
※国(唐)が命じて訳したという意味
 
「だーい はんにゃはらみったきょうだい○かん とうげんじょうさんぞうほうし」までは一気に読み上げられ、「ぶしょうやーく」と最後はためが作られます。音の調子を例えるなら、出発を告げる電車のホームアナウンスの「しゅっぱーつ」と似ているかもしれませんね。

【動画】長谷寺護摩焚き 転読(17.8 MB)

 

 読経と同時に手に取った経本をパンと鳴らし、折りたたまれた経本が上から下へ弧を描き、流れ落ちる滝のように広げられます。それぞれの住職がそれぞれのリズムで100巻の経本の転読が繰り返されます。読経は重なり合って本堂に反響し、その声が波のようによせては返していきます。反響する音と護摩の炎とその香り。真剣にその光景を見つめる子もいれば、手で耳をふさぐ子、お母さんの手を握り寄り添う子、子どもたちは初めて見る護摩焚きに圧倒されています。一人ずつ子どもたちが健康を祈願し護摩木をくべる場面では、少し緊張した横顔が緋色に照らされます。

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【写真】転読

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 終盤に差し掛かると、一度護摩の炎で炙り清めた経本で、健康や学業成就を祈って、住職が子どもと保護者の肩を叩いて歩きます。転読が続く中、両肩を叩く柔らかい音が響いてきます。

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 転読が終わると、重なり合う読経が始まり、太鼓が鳴り響き、錫杖の金の音がリズムを刻み、法螺貝の音が重なって、荘厳な雰囲気に包まれます。読経が終わると短い法螺貝の音と終わりを告げる磬子が叩かれ、真言が唱えられ、静かに護摩焚き法要が終わりました。

【動画】長谷寺護摩焚き(17.2 MB)

 

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【写真】太鼓と錫杖

 

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護摩焚きの炎と香り、転読の音の風景は江戸時代から現代まで変わらず続けられてきました。また今年も春がやってきます。

 
長谷寺過去の記事
■ふるさとメール
◎水を求めた扇状地の人々 ~雨乞いのパワースポット長谷寺~

◎平安時代の信仰(1) ―御勅使川扇状地の観音信仰

◎新指定文化財のよこがお(2)木造十一面観音及び毘沙門天、不動明王立像 ~日の目をみた日不見観音(ひみずかんのん)~

◎文化財を守る地域の力
 ~太平洋戦争と長谷寺本堂解体修理の物語その1~

◎文化財を守る地域の力
 ~太平洋戦争と長谷寺本堂解体修理の物語その2~
 
■ふるさと〇〇博物館ブログ 
 八田山長谷寺の護摩と雨乞い

【南アルプス市教育委員会文化財課】