昭和30~40年代に南アルプス市の中野地区で活躍した三輪トラックの三菱「レオ」が1日、里帰りした。現存数が少なく映画にも“出演”した1台。市教委が行ったイベントの目玉企画として、所有者の協力を得て実現した。レオは中野地区に広がる棚田を約半世紀ぶりに疾走した。
所有者は神奈川県の松葉さん。松葉さんによると、レオは生産が1959~62年と短く、現存するのは10台前後とみられる幻の三輪トラック。松葉さんのレオは61年式で、2012年公開の映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」に登場している。
旧車好きの松葉さんは子どもの頃、レオが自宅隣の空き地で使われずに置かれていた記憶があり、以前から手に入れようと探していたという。10年ほど前に譲り受け、整備して運転できるようにした。
レオの後部には「山王」という名字とともに「櫛形町中野」と書かれている。松葉さんは10年にルーツを求めて中野地区を訪問。2度目で当時のレオ購入者の家族と出会えたという。市教委の調査で1970年ごろまで中野地区で使われていたことが分かった。
市教委は1日、地域固有の場所や建物、市民の記憶といった地域資源を紹介する専用サイト「○博アーカイブ」を公開し、記念企画として実施した、まちあるきイベントにレオを登場させた。参加者は棚田の農道を駆け上がってきたレオを出迎え、記念撮影するなどした。
松葉さんは「一度は里帰りさせて地域住民にレオを見せたかった。いい記念になった」と喜んでいた。
(写真)約半世紀ぶりに里帰りした三輪トラックの三菱「レオ」=南アルプス市中野
【山梨日日新聞 12月2日掲載】