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プロフィール

 南アルプス芦安山岳館は、2003年3月21日に開館しました。山岳文化の発掘と研究・継承、自然保護や安全登山の普及、山を仲立ちとしたさまざまな交流の実現を目的としています。氷河時代から数万年を生き続けるキタダケソウやライチョウが住む3000メートルの高山、生活と結びついて文化や産業、技術を育ててきた里山。芦安地域は自然、文化ともに魅力に満ちた地域です。山岳館はその一端を知っていただく施設です。また、この施設は、県産材の利用促進を図ることを目的としたモデル的施設でもあります。多くの方に見学していただき、県産材の良さを知っていただきたいと思います。

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【山梨県内のニュース】

やまなし犬と生きる風景 日本古来の種、保存へ奮闘

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 犬は古来から人間とともに生きてきた。狩猟犬として野山を駆け回り、人間と共同生活を送る「地犬」が日本各地にいた。血統にかかわらず、犬にかわいさや癒やしを求める現代のペットブームの一方で、こうした「犬本来の姿」を追い求める人たちがいる。

 南アルプス市落合の建築業深沢守さん(39)はその一人。「日本古来の純血種を残したい」-。日本犬保存会山梨県支部の若手のホープとして、日本犬の種の保存に取り組んでいる。

 「悍威(がんい)に富み、良性にして素朴の感あり…」。気迫と威厳があり忠実で従順、日本の風景に合う素朴さも兼ね備える-。日本犬保存会が定める基準には、日本犬のあるべき姿が示されている。耳の形、目の形、体の大きさ、足の角度、歯の数…。細かい基準はすべて、日本犬本来の機能、味わい、容姿を保つためだ。

◎課題は会員減
 天然記念物に指定されている日本犬は柴犬、四国犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬の6種。明治から昭和初期にかけて洋犬が輸入されると日本犬の雑種化が進み、絶滅の危機にあった1928年、日本犬保存会が発足した。天然記念物指定や血統の組み合わせを考えた系統的な作出など保存活動が盛んに行われてきたが、近年は高齢化に伴い会員減少が課題となっている。

 山梨県支部もこの10年で約3分の1に減少。60歳以上が8割を占める中、深沢さんら若手への期待は大きい。深沢さんが目指しているのが、全国や各都道府県の支部単位で開かれる展覧会の審査員。現在、県支部では不在のポストで、審査員候補生となる研修員や、展覧会の審査補助員を務めながら勉強に励んでいる。

 11年前、「運動のパートナーに」と飼い始めた柴犬が近所の保存会会員に見初められ、展覧会に参加したのが入会のきっかけだった。多いときで9匹の柴犬を飼い、「いい犬」と交配させることで理想の犬を追求してきた。現在7匹を飼育。このうち楓(9歳・雌)は全国展の成犬雌の部5位、神奈川展で同部1位に輝いた。「犬と信頼関係を結び、展覧会で得られる犬との一体感は大きな喜び」と語る。

 一方、保存活動には会員減少の理由に通じる難しさもある。県支部長の石居一男さん(68)=笛吹市石和町下平井=は「ペットとして犬を飼う人は多いが、種の保存には系統的な作出が必要。保存会基準に合う犬を求めて入れ替えていく必要がある」と話す。「家族の一員」であるペットとは異なり、展覧会での入賞が難しい規格外の犬は手放し、新たな飼い主に託すシビアさも伴う。

 深沢さんは「できれば最後まで飼いたいが経済的、スペース的に難しい。葛藤はあるが割り切るしかない。かわいがってくれる飼い主の元で幸せに暮らしてほしい」と願っている。

◎わびさび持つ
 ペットフード協会(東京)の全国犬猫飼育実態調査で、犬の推定飼育数は3年連続減少。昨年、猫に逆転された。「犬は手間がかかる」というイメージが理由の一つだが、犬種保存のための飼育となるとなおさらだ。日本犬の本質を生かすための運動や餌など健康面への配慮、精神力の鍛錬のほか、新たな犬の購入・交配の費用、家族の理解も欠かせない。

 深沢さんは「血はいったん混ざると戻せない。一部の金目的のようなブリーダーではなく、きちんとした系統作出の下、健康で基準に沿った日本犬をつくり出していくのが使命」と誓う。日本の気候風土に適応し、日本人に通じるわびさびを持つ日本犬。甲斐犬だけでなく、現在の柴犬のルーツがあるという山梨で、「日本犬の魅力を広く知ってもらい、若い世代の会員増に力を入れていきたい」と意欲を燃やす。

【山梨日日新聞 1月6日掲載】

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