水墨画に浮かぶ昔の暮らし

 中央市大鳥居の豊富郷土資料館は、大正時代から昭和時代にかけて活躍した画家山喜多二郎太(1897~1965年)が描いた水墨画を展示した「懐かしの水墨画展」を開いている。展示しているのは、同所出身の水上文政さん=東京都=が郷土資料館に昨年寄付した作品で、昔の人々の暮らしぶりをしのばせる。

20121009_016 山喜多は水墨画や油彩画を学び、印象的な画風で知られる。日展の評議員や審査員を務めた経験もある画家。今回、豊富郷土資料館が展示しているのは、山喜多が農村や漁村の風景を描いた水墨画35点。黒い墨だけでなく、赤や緑、黄色などの淡い色彩で、農民や牛などがいる風景を描いている。
 同館によると、美術愛好家の水上さんは旧豊富村大鳥居の水上地区出身で、20代で上京。都内の自宅の近所に住んでいた芸術家たちと親交を重ね、山喜多とも仲が良かったという。地元に貢献したいという気持ちから、山喜多の作品100点を同館に寄贈した。
 9月16日には開催セレモニーが開かれ、水上さんら約30人が出席。テープカットが行われたほか、水上さんに感謝状を贈った。
 水上さんは「寄贈した作品を展示してもらい、うれしい。現代では見られない光景だが、昔ばなしを聞くつもりで作品を見てもらいたい」としている。展示は11月25日まで。

(写真)展示された水墨画を見る水上文政さん(写真中央)=中央・豊富郷土資料館

【山梨日日新聞社 10月9日掲載】