地方病との闘い、後世に

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 鏡中条村(現南アルプス市)出身で、日本住血吸虫病(地方病)の撲滅に尽力した医師小野徹(1875~1971年)の自宅や医院だった建物を宿泊施設などに改装する計画が進んでいる。やしゃごの藤巻佑理さん=東京都=が企画。施設では医療器具などを展示する予定で、小野が地方病撲滅に取り組んだことを伝える場にしたい考えだ。

 小野は鏡中条村で洗心堂医院を開業。地方病の原因究明に努め、県内の地方病撲滅推進に尽力した。県医師会長などを歴任した。
 小野の自宅と医院はいずれも木造2階建てで、廊下でつながっている。庭を含めた敷地面積は約2800平方メートル。医院は峡南地域を拠点に活躍した「下山大工」の技術を持つ職人が建てた。息子の修さんが医師として使用していたが、91年に亡くなってからは佑理さんの母美枝さん(59)が管理していた。
 都内でアプリ開発の会社に勤めている佑理さんは、小野の自宅を訪れるうちに「維持するだけでなく、高祖父の残したものを活用したい」と今年3月に改装を決意。両親や妹らと協力して、塀の修繕や医療器具の整理などを行ってきた。活動は写真共有アプリ「インスタグラム」で発信している。
 改装作業は来年3月までに行い、申し出のあった市民にパン店兼宿泊施設として貸し出す予定。地方病の流行の原因の一つだった宮入貝が入った薬瓶、小野が使用した聴診器やメスなどを展示する。

(写真)洗心堂医院で使われていた医療器具=南アルプス市鏡中条

【山梨日日新聞 11月13日掲載】